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第8話
凱は原稿があるから、と怜也は一人でキッチンに立った。
包丁の音がリズムよく聞こえる。
煮炊きする香りが、漂ってくる。
(ああ、何かイイかも)
一人では絶対に味わえない、安らぎの空間が確かにそこにはあった。
「御飯もうすぐできるけど、先にお風呂に入る?」
「どうしよっかな。お前、先でもいいよ」
我知らず、夫婦の会話をしている凱だ。
脱衣所で気づき、顔を赤くしてしまった。
それでも鼻歌など歌いながら、バスを使っていた。
その時。
「凱、背中流してあげる」
怜也がバスルームへ入って来たのだ!
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