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第9話
「バカ、いらねえよ!」
「妻がせっかく来てやったのに!」
怜也は服を着ているが、凱の方は素裸だ。
恥ずかしいやら何やらで丸くなっていると、あっという間に背中にすがりつかれてしまった。
「裸見られて恥ずかしいの? 柄じゃないなぁ」
そう。何の事は無いはずなのだが、改まって夫婦と言われると妙に照れる。
(意識しちゃってンのか? 俺!)
しかし背中を流してもらうのは、気持ちがよかった。
しっかり擦ってくれる心地よさは、さすがは怜也。
「さっぱりしたぜ。ありがとよ」
「どういたしまして」
これで終わると思いきや、怜也は去り際に爆弾を落とした。
「明日からは、一緒にお風呂入ろうか?」
「調子に乗るな!」
笑いながらバスルームを出て行く妻に、夫はぶくぶく泡を吹くばかりだ。
(ダメだ。すっかりペースに乗せられてる)
ここは挽回をはからないと、尻に敷かれてしまう。
凱は、妙なプレッシャーを感じていた。
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