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第10話

 夕食で妻にケチをつけてやろうか、と思っていた凱だった。  しかし怜也が一生懸命に作った料理は、どれも文句のつけようがない。  食器も仲良く二人で片づけてしまったし、後はもう寝るだけだ。 「おやすみ」 「何でお前が隣で寝るんだよ」 「だって、妻だから」  凱は跳ね起きた。 「そこまでするな! ソファで寝ろ!」 「恥ずかしいの? 柄じゃないなぁ」  風呂の時に言われた言葉をそのまま繰り返され、思い直した凱だ。 (このままだと2週間ずっと尻に敷かれるぞ) 「じゃあ、お前を抱いてもいいんだな?」 「え!?」 「夫婦は体のスキンシップも大切だからな。愛情の確認だからな」 「……」  内心、凱は笑っていた。 (ようやく黙ったか。さすがにコレは無理だろ) 「解かった」 「へ?」 「そこまで言うのなら。凱が、どうしても! っていうのなら、いいよ」 「……」 「凱?」 「ぐ~ぐ~」  仕方なく寝たふりをして、結局は指一本妻に触れることなく過ごした凱の夜。 (これがあと13日も続くのか!?)  先の事を考えるとぞっとしてきたので、そのまま寝入ってしまうことにした。

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