10 / 17
第10話
夕食で妻にケチをつけてやろうか、と思っていた凱だった。
しかし怜也が一生懸命に作った料理は、どれも文句のつけようがない。
食器も仲良く二人で片づけてしまったし、後はもう寝るだけだ。
「おやすみ」
「何でお前が隣で寝るんだよ」
「だって、妻だから」
凱は跳ね起きた。
「そこまでするな! ソファで寝ろ!」
「恥ずかしいの? 柄じゃないなぁ」
風呂の時に言われた言葉をそのまま繰り返され、思い直した凱だ。
(このままだと2週間ずっと尻に敷かれるぞ)
「じゃあ、お前を抱いてもいいんだな?」
「え!?」
「夫婦は体のスキンシップも大切だからな。愛情の確認だからな」
「……」
内心、凱は笑っていた。
(ようやく黙ったか。さすがにコレは無理だろ)
「解かった」
「へ?」
「そこまで言うのなら。凱が、どうしても! っていうのなら、いいよ」
「……」
「凱?」
「ぐ~ぐ~」
仕方なく寝たふりをして、結局は指一本妻に触れることなく過ごした凱の夜。
(これがあと13日も続くのか!?)
先の事を考えるとぞっとしてきたので、そのまま寝入ってしまうことにした。
ともだちにシェアしよう!