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第11話

 お先真っ暗な2週間だと思っていたはずだが、意外な快適さを凱は感じていた。  家事は分担して行うので、手間が半分で済む。  後でやるはずの仕事を怜也が片づけてくれるので、楽ができる。  生活費は自分で払う、との申し出に、経済的負担も無し。  もともと気の合う友人同士なのだ。  初恋の相手なのだ。  一緒に暮らして困ることはなかった。 「こればっかりは参るけどな」  夜、隣に眠る怜也を見ながら凱は呟いた。  可愛い寝顔。  頬に、そっとキスをしてみた。  体を寄せて解かるのは、彼の持つ良い香りだ。  今度は、鼻にキス。 「マジで夫婦なら抱いちゃうんだけど」  友達だから、男同士だから、という垣根が崩れかけている。 「いや、待て。俺」  同性婚の許されない日本でも、パートナーシップ法というものがある。 「だから待ちなさい、俺!」  とにかく、あと4日我慢すれば、この妙な欲求も解消できるのだ。 「寝るのだ。俺」  悶々としながら、夜はふけていった。

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