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第16話

「これがランチ!?」 「腕に縒りを掛けて作ったぜ」  ディナーより豪勢な食卓が、怜也の前に拡がっていた。  ワインも奮発したのか、高価そうなボトルだ。 「まるで記念日みたい」  何気なく口にした怜也の言葉に、凱は頷いた。 「そう、記念日だ」 「何の?」  すると凱は席を離れ、戻って来た時には大きな花束を抱えていた。 「僕に!?」 「受け取ってくれるか?」  凱はひとつ咳払いをし、怜也に切り出した。 「怜也、俺と同棲してくれ!」  あまりの事に声が出せないでいると、凱はそのワケとやらを語り出した。 「結婚、ってのは結論が早すぎるかな、と。お前は問題ないとして、俺の方に落ち度があると申し訳ないというか。まずはこのまま一緒に暮らし続けてみようか、とだな」  しどろもどろと彼らしくない語りに、本気の決意がうかがえる。  怜也は花束の甘い香りを吸うと、息を吐いた。 「そしてゆくゆくは……、僕と夫婦になってくれるのかな?」 「そのつもりだ」 「ありがとう」 「それって、OK?」 「うん」

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