5 / 8

第5話 告白の結末① side敦士

「…凌馬……、聞いて欲しい。俺は……。」 「…それ以上、言うなよ、敦士……。答えは分かっているから……。」 それだけ苦しそうに声を絞り出して言うと、凌馬は踵を返して、走り去ってしまう。 えっ? 何で、急に居なくなるんだよ? 俺は……。 俺は、俺も凌馬を好き、と言おうとしたのに……。 言い逃げとか……。 凌馬を追いかけようとして、 「兄貴。」 と、龍聖に呼び止められてしまった。 「兄貴も凌馬さんのこと、本気なのか?」 「…あぁ……。今、気づいたけど……。」 「それって、ちょっと狡くないか?俺は、初めて会った時から、凌馬さんのことを好きだったのに……。」 そう言った龍聖は、本当に悔しそうに、唇を噛みしめていた。 「早く追いかけろよ、兄貴。きっと、凌馬さんは、兄貴じゃないとダメなんだよ。」 それだけ言った龍聖は、ちょっと泣きそうな表情をしていた。 「あぁ、分かった。ごめんな、龍聖……。」 俺はそう言って、凌馬の後を追いかけたのだった。 アイツの行きそうなところなら、たぶん分かる。 確信して、俺は走り出した。

ともだちにシェアしよう!