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第5話 告白の結末① side敦士
「…凌馬……、聞いて欲しい。俺は……。」
「…それ以上、言うなよ、敦士……。答えは分かっているから……。」
それだけ苦しそうに声を絞り出して言うと、凌馬は踵を返して、走り去ってしまう。
えっ?
何で、急に居なくなるんだよ?
俺は……。
俺は、俺も凌馬を好き、と言おうとしたのに……。
言い逃げとか……。
凌馬を追いかけようとして、
「兄貴。」
と、龍聖に呼び止められてしまった。
「兄貴も凌馬さんのこと、本気なのか?」
「…あぁ……。今、気づいたけど……。」
「それって、ちょっと狡くないか?俺は、初めて会った時から、凌馬さんのことを好きだったのに……。」
そう言った龍聖は、本当に悔しそうに、唇を噛みしめていた。
「早く追いかけろよ、兄貴。きっと、凌馬さんは、兄貴じゃないとダメなんだよ。」
それだけ言った龍聖は、ちょっと泣きそうな表情をしていた。
「あぁ、分かった。ごめんな、龍聖……。」
俺はそう言って、凌馬の後を追いかけたのだった。
アイツの行きそうなところなら、たぶん分かる。
確信して、俺は走り出した。
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