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第6話 その後……。 side龍聖

俺は、走り出した兄貴を見送った後、その場で、号泣してしまった。 凌馬さんは、俺の初恋だったんだ。 本当に大好きだった。 だから、この気持ちを伝えられて、本当に良かった。 実らなかった恋だけど……。 願わくば、凌馬さんと兄貴の仲が上手くいって欲しい。 そんな風に思っていた時だった。 ひょいっと、俺の友達である如月翔真が姿を現したのは……。 俺は、もうびっくり眼で、翔真のことを見てしまった。 そして、泣き顔を見られてしまったことを気づくのに、数秒かかっていた。 「…おっ、お前……、こんなところで何してるんだよ?」 「えっ?いやぁ、龍聖がどうなったのか、心配になって……。片切先輩に告白するって言ってたから……。」 「見事にフラれたよ。完璧なまでに……ね。」 「…そうかぁ……。よしよし。」 そう言うと、翔真は、俺の頭をなでなでし始めた。 「何だよ?この微妙な触り方は……?」 「えっ?頑張ったね、っていうお触り的な感じ?」 俺は、呆れてしまった。 「こういう時は、慰めるために、抱き締めるとかしないのか?」 「いや、そんなことしたら、俺、我慢できないし……?」 「何をだよ?」 「…俺が、龍聖を好きってこと、をさ……。」 「…それってさ、今言うセリフか?俺、傷心しているのに……。」 「今だから言うんだろう?」 そう言って、翔真は、もう我慢できないとばかりに、俺を強く抱き締めてきた。 「俺は、龍聖が大好きだよ。」 そう言う翔真の背中に、俺は、そっと腕を回したのだった。

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