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第17話

 蒼大は、信じられなかった。  灯油に火をかけたのだ。  あの勢いの炎は、しばらく消えるはずがない。  周囲を焦がし、焼き尽くすはずなのに、全くその気配がないのだ。 「クチナワサマ、幸せになれたんだね」  澪は、涙を流して祈っていた。  そんな彼の肩を、蒼大は抱いた。  夜空には、降るような星々が。  まるでクチナワサマを、俺たちを祝福してくれてるみたいだ。  そんな風に、考えていた。

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