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第2話

 つい勢いで「分かった」なんて言ってしまったけど、何をどう考えればいい?  部活が終わって家に帰ってきても伊吹の告白が頭から離れなくて、もう寝てしまおうとベッドに横になったけど、それでも中々眠れない。  そもそもあいつが俺のことを好きな素振りなんてあったか?  とりあえず伊吹からのメッセージを振り返ろうと、スマホをチェックする。それを見ているうちに、どうやら俺は毎日のように伊吹とやり取りしていたらしいことが分かった。 『先輩、明日は雨らしいですよ。たぶん外の部活も体育館使うので、早めに来た方がいいかも』 『新しいバッシュ買うなら、俺も行っていいですか?』  部活のことがほとんどだったけど、メッセージ欄のほとんどが伊吹の名前で埋め尽くされている。……彼氏かよ。  素振りしかなかったのに、何で気づかなかった俺。  伊吹かぁ……。話してて楽しいし、良いやつではあるんだけど。そういう対象としては全く考えたことなかった。どうするかなぁ。  しばらく頭を抱えたあと、伊吹に一言だけメッセージを送ることにした。 『いつから?』  主語もない上に何の脈絡もなく送りつけたメッセージだったけど、伊吹からは秒で返信が返ってきた。 『四月。一番に俺に話しかけてくれたじゃないですか。その時から好きです』  そういえば、体育館の前でうろついてた伊吹に話しかけたような記憶はあるな。でも別に普通に話しただけで、大したこと言ってないと思うんだけど。 『それだけで?』 『正直に言うと、高校でもバスケ続けるかどうか迷ってたんですよ。中学で色々あって。でも先輩が一緒にがんばろうって誘ってくれたおかげで、踏ん切りがつきました』  そうなのか……。  高速で返信が返ってくるスマホの画面を見つめながら、当時のことを思い返す。  伊吹は中学から活躍してて有名だったし、当然高校でもバスケを続けるものだと思って話しかけたんだよな。むしろスカウトされて入ってきたと思ってたから、普通に受験したって聞いて驚いたんだけど……。  中学で何かあったのかな。  伊吹の過去も知らないし、俺を好きなことさえ今日初めて知った。それなのに、俺の知らないところで伊吹は俺に恋をしていたんだ。  そう思うと、なんか胸がむず痒くなるというか何とも言えない気持ちになる。  それ以上どう返信したらいいか分からなくなって、スマホを置いてベッドに突っ伏した。

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