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第2話 契約成立
じゃんけんで順番を決めた結果、まずは俺が瀬名に舐められることになった。
その日着ていた白いTシャツを潔く脱ぎすてると、瀬名は「おお、男らしい」と軽く拍手をした。そしてまじまじと、俺の身体を観察し始める。
「……翔って、こんなに男っぽい身体だったっけ」
「え? そーかなぁ?」
「中一の頃はもっとひょろっとしてたのに、なんか……逞しくなってる」
「そうかあ? 部活のおかげじゃないかな」
ちら、と自分の身体を見下ろしてみる。まぁ確かに中学入ってから、いー感じに筋肉がついてきてんなぁってことは感じてた。瀬名には気のないことを言ったけど、ちょっとずつ逞しくなる自分の身体が嬉しくて、風呂のときとか鏡の前で馬鹿みたいにポーズとったりしたこともあるし。
俺たちはベッドの上で向かい合って座っているのだが、瀬名は照れ臭そうに俺の乳首を見ては目をそらし、腹筋や短パンから覗く脚とかをチラチラ見てる。気乗りしないのかなぁと思って小首を傾げると、瀬名は珍しく気弱な声で、「……いい?」と聞いてきた。
「うん、いいよ」
「じゃ、じゃあ。……やってみっか。膝立ちになってくれる?」
「うん」
膝立ちになり、瀬名の開いた脚の隙間に入り込む。すると瀬名は深呼吸を一回した後、俺の腰に手を添えた。その感触がくすぐったくて、俺はもぞっと身震いする。
そして、瀬名は頬を染めながらゆっくり顔を近づけて、小さく舌を覗かせた。そして、俺の乳首に……。
「……ふえっ」
「あっ、気持ち悪ぃ?」
「ううん。びっくりしただけ……大丈夫そう」
「じゃあ、もうちょっと……舐めるぞ」
あったかくて、濡れた舌の感触。それは、普段一緒に遊んだり馬鹿やったりして、爽やかに笑ってる瀬名の一部じゃないみたいだった。
ぬるっとした赤い舌が、ちろ、ちろと俺の乳首の先っぽを舐めている様子を見下ろしていると、何だかすごくいけないことをしているような気分になる。
舐めあげられるとくすぐったくて、ちょっとだけ股間のへんがもぞもぞした。二次画像の熟女みたいに乱れるほど気持ちがいいわけじゃないけど、経験したことがないような、変な感じ。くすぐったさの奥に何か未知なる感覚が隠れてるような気がしてドキドキする。
というか、そういう感触よりも、目を伏せて俺の乳首を舐めてる瀬名の表情のほうがよっぽどエロい……っていうか……。
あっ、上目遣いでこっち見た。……何だろこれ、うう……なんか、変な気分……。
「……どうだ?」
「く、くすぐったい、っていうか……」
「俺、下手か?」
「わ、わかんない……」
俺の腰を支える瀬名の手のひらが熱い。瀬名はもう一度目を伏せて、逆側の乳首を舐め始めた。
やっぱりそっちもくすぐったいだけだけど、ちょっとびっくりするくらい長い睫毛を伏せて、ぺろぺろと俺の乳首を舐めている瀬名の顔がやっぱり……なんていうか……ちょ、なんかこれ……っ!
「あ、あの!! あのさ、交代しよ!」
「え……俺、やっぱ、下手?」
「そんなことないよ! 初めてだしさ! くすぐったくて」
「あ、そうなんだ。……うん、じゃあ、交代」
今度は俺が舐める番。
ポジションを交代して、俺はベッドに座り込み、男らしく脚を開いた。すると今度は瀬名が膝立ちになり、俺の脚の間に入ってきた。
瀬名のほっぺたはもうすでにほんのり赤くて、気恥ずかしそうに伏せているまつ毛が震えてる。ちらりと俺を見下ろした後、瀬名は黒いポロシャツの裾を手でつまみ、するすると乳首の上までゆっくりと捲り上げた。……その表情とか動作がなんつうかもう、エロい雰囲気で……俺は、ごくりと生唾を飲む。
ぐっと瀬名の腰に手を添えて、舐めやすいように身体を引き寄せた。骨ばった頼りない腰は、思ってたよりもずっと細っこい。両手で包み込めちゃいそうな細さで、何かよく分かんないけどどきどきした。
――うわ……きれいなピンク色。肌白いから、なんかすっげぇ、エロい……。男の乳首とか初めて見たけど、こんなにきれいなもんなのかぁ……。
うっすら浮いた肋骨、ぺったんこの腹、黒いシャツのせいで、余計に白さが際立つ瀬名の肌、そして薄ピンク色のきれいな乳首。俺はごくりとまた唾を飲んで、じりじりと瀬名の胸元に顔を近づけた。
俺の吐息でもかかったのか、瀬名が突然ふるりと震えた。俺はどぎまぎして、瀬名を見上げて声をかける。
「……あ、あのさ、平気?」
「へ? ……な、なにがだよ?」
「いや、瀬名の顔赤いし、恥ずかしそうだし。……もし、嫌になったら言ってくれよな」
「い、いやじゃねーし!! 舐める感覚と、舐められる感覚と、どっちも知りたって思ってたし!! ……俺、あんまり上手じゃなかったみたいだけど、これからもっと練習するし!」
「練習……あ、うん、そうだよな」
ってことは、瀬名はこれからもこういうことを続けていきたいってことなんだよね。……だ、大丈夫かな俺。マジでこんなことしてていいのかな……。
でも、ここでやめようなんて言ったら、きっと瀬名が傷ついちゃうだろうし……。だって今、瀬名はシャツめくって乳首突き出して、ふるふるしながら俺に舐められるの待ってんだもん。
……ここで引いたら男がすたる……!!!
「……ぁっ……ん」
意を決して、俺は瀬名の乳首にちゅうっとキスをしてみた。そこから舌を伸ばし、小さな突起物を探そうと舌を動かしてみると、瀬名はびくんっと身体を震わせて、なんかすっごくかわいい声を漏らして……。
――なに今のエロボイス……!! なんか、なんか……無料動画で見たエッチな声そっくりなんだけど……!!?
瀬名の声は色っぽくて、ダイレクトに俺の股間を直撃するほどの威力があった。このままこんなことを続けていいのだろうかという迷いが、ちらりと俺の脳裏をかすめていく……。
「え、えと、平気?」
「だ、だ、大丈夫……ちょっとびっくりしただけ……!」
「じゃ、じゃあもうちょっとやってみる、よ?」
「うん……来いっ……!!」
男らしく宣言しつつ、捲り上げたシャツを握りしめてきゅうっと目をつむる瀬名……かわいいなおい。
やってみると言ったはいいが、力加減もやり方も分からない。なので俺はとりあえず、アイスキャンディでも舐めるような要領でぺろんと瀬名の乳首を舐めてみた。
「……あ……っ」
――あ、あれっ……なんか、すげー気持ち良さそうな声……!?
どきどきしながら瀬名の顔を見上げてみると、瀬名は唇を固く引き結んで固く目をつむって、ふるふるふるふる震えてた。その反応をどう捉えればいいのか分からなくて、俺は一瞬舌を引っ込めかけたけど、ここでやめては男がすたる……!!
「……ぁ、ん……ん……ッ」
ぺろ、ぺろ、とゆっくり舌を上下させてみると、その度に瀬名の身体が分かりやすく跳ねた。赤かった顔はさらに赤くなってて、白い身体の方までじわじわ赤く染まっていって、シャツを掴んで捲り上げている腕まで真っ赤っかだ。しかも、気のせいかもしれないけど、淡いベージュの短パンの股間のとこ……なんか、膨らんでるような。
――やば……やばいってこれ。え、いいの? このままぺろぺろし続けていいのか……!?
「……せ、瀬名……」
「……へ……っ? な、なに……!?」
「あ、あの……、気持ち、いいの?」
ねっとりピンク色に染まりつつある部屋の雰囲気を変えようと、俺はあえて瀬名に声をかけてみた。ゆっくりと開かれた瀬名の目はうるうるに潤んでいて、吐息が絶妙に色っぽい。明らかに性的な空気を醸し出している瀬名を見上げているだけで、俺の股間、また……ずくんって、疼いた。やばい……。
「あ、あはははは、お前、おっぱい、感じちゃうんだ。声……AV女優みたいなんだけど」
「かっ…………か、か、感じてねーよ!!! え、えーぶいとか、はぁ!? そんなわけねーじゃん! くすぐったいの我慢してたの!!」
「あ、くすぐったかっただけ? な、ならいいんだけど……」
何もいいことはないのだが、俺はとりあえずそう言って、瀬名のシャツを引っ張って乳首を隠してやった。瀬名が若干残念そうな顔をしていることには、気づかないふりをして……。
瀬名は太ももをもじもじさせながらベッドに腰掛け、はぁ、っと一つため息をついた。そして、普段通りの勝気な口調でこんなことを言う。
「か、翔もまだまだだなっ! 全然だめ。翔の舐め方、全然エロくないもん」
「えーそうかなぁ? ……じゃあ、これからも練習したほうがいいかな……」
「……お、おう……そのほうがいいんじゃねーの。俺も……初エッチでヘタクソとか思われたくないし、さ……」
「それなら……たまに、しよっか。練習」
「おう……そーだな。よろしく……」
「こちらこそ……」
というわけで、中三の夏以来、俺たちは乳首を舐め合う関係になった。
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