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番外編 両思いって最高すぎかよ

瀬名目線です。  ◇ 「ん、ん、はぁっ、ん、」 「……どう、こういうの、好きか……?」  正常位で俺を抱く翔を涙目になりながら見上げると、翔は気持ちよさそうにとろけた目つきで、じっと俺を見つめていた。ゆっくりした動きで腰を振る翔の動きはめちゃくちゃエロくて、見てるだけで興奮する。  熱く見つめられながら、先っぽで擦り上げるようにイイところを突かれて、俺は気持ち良さのあまり翔の背中に爪を立てた。快楽の波に弄ばれて甘ったるいヨガリ声をあげてしまう俺を見て、翔はうっとり微笑んだ。 「好きなんだ。締めつけ、すげぇ」 「あ……ぁ、ああっ、すき、すきっ……ぁ、すげ、やべ……ぁ、きもち……いい、はぁっ」 「俺も、イイよ、……はぁっ……でも、もう……イきそ……っ」 「イけよ……イイよ、俺ん中で、イけよ……っ」 「……ん……く……はぁっ……! ぁあ、あ……っ……!」  俺をしっかりと抱きしめて、急に激しく俺を突きあげる翔の雄々しい動き……すっげ、好き。いつもは優しく俺を攻めてくるくせに、もう我慢できねー、もうイきそってなってる時の翔の余裕のない表情、マジきゅんきゅんする。  十二月に入り、気の早いクリスマスムードが街を包み始めたある日、俺は久しぶりに翔の家に遊びに来た。  翔はサッカー部の部長、そして俺は水泳部の部長。お互いに部長業が忙しくて、のんびりイチャイチャする時間がなかなか取れなくて、俺的にはもうそろそろ我慢の限界だった。  ちょうどその頃、絶妙のタイミングで試験期間に入った。  本来なら部活を控えて勉強に勤しまなきゃならねーっていうこの時期に、俺らは平日の真昼間から覚えたてのセックスに勤しんでる。えっ、勉強? あとあと、そんなの後だ。  こうやって家でちゃんとエッチすんのは、実はまだ三回目。  翔の両親は、ふたりきりで旅行に出かけてるらしい。翔の母さんは身体が弱くて、割と家に引きこもりがちなところがあるんだけど、そんな妻の気分転換と養生にってことで、翔の父さんはたまに奥さんを旅行に連れ出すんだ。翔がもっとガキの頃は一緒に旅行に連れて行かれてたけど、高校に入ってからはあまり旅行には同行してない。部活が忙しかったってのもあるし、そうして両親がいない日は、俺とゲームしたり遊んだり……おっぱい舐め合ったり、してたから。 「おばさんたち、今回はどこ行ったの」 「えーっと、熱海だったかな」 「温泉かあ、いいじゃん。たまには付き合ってやればいーのに」 「いやいや、俺テスト期間中だから。旅行なんて行ってちゃダメだろ」 「いやいや、エッチ三昧ってのもどーかと思うぜ」 「確かに」  そう言って、ベッドサイドに座った翔がこっちを振り返る。逞しく成長した凛々しい背中をぽうっと眺めていた俺は、満ち足りた笑顔を浮かべる翔の表情にどきりとした。  昔はもっと細っこい背中だったのに。ほどよくに日焼けて、引き締まった筋肉に覆われた翔の背中は、男らしくてすごくセクシーだ。見てるだけでムラムラする。  身体はすごく男らしくなったけど、反抗期とかそういうのと無縁に育ってきた翔の顔つきは、今もどことなくあどけなくて、すごく素直な感じ。きりっと上がった眉毛とか、いかにも穏やかそうな奥二重の目元とか、すっと通った鼻筋とか厚みのある唇とか……すっげ整っててかっこいいんだけど、こいつは自分の外見や男らしい魅力に、まったくもって無頓着だ。     誰にでも優しくて、かっこよくて、サッカー部の部長っていったら、モテ要素てんこ盛りだ。なのにこいつの周りには、浮いた噂が一つもない。まぁ確かに、どこまでも純粋で爽やかな翔の雰囲気は、恋愛の生々しさとは無縁な感じがする。そのせいか、どうやら女どもの恋愛対象にはなりにくいみたいなんだよな。ほんっと、助かる。マジで。  けど俺は、翔のそういうところが、ずっとずっと好きだった。  ひねた俺のことをなんでも受け止めてくれて、優しく話を聞いてくれて、いつでも明るく励ましてくれた。中学の頃の俺は、痩せててチビでパッとしなくて、全然自分に自信が持てなかった。けど翔がいてくれたおかげで、毎日がすっげー楽しくなった。  中二の頃から、俺たちは仲良くなって、家を行ったり来たりするようになって、泊まりで遊ぶことも増えた。  その時からか、俺はすぐそばで眠ってる翔のことを、妙に意識してしまうようになってた。ちょうど、セックスとかそういうもんに関心が出始めた頃、俺が真っ先に性の対象として認識したのは、翔だった。  翔とキスしたい、触りたい、もっともっと、一緒にいたい……。そんなふうに感じる自分が心底キモくて、俺はそういう自分の感情を塗りつぶすかのように、エロ画像を漁って女体に関心を持とうとした。でも、だめだった。  おっぱい舐められてアンアンいってる女の子の画像を見ていたはずが、いつのまにか、「翔におっぱいを舐められてアンアンいってる自分」に脳内変換されてるし。おっぱい揉みまくられながらぶっといちんこで突かれまくってる美女を見てても、結局「翔に乳首いじられながら突っ込まれてよがってる自分」画像にスイッチしてて……何度、翔に土下座しようかと思ったことか。  そんなこんなで、そろそろ色んなことが我慢できなくなり始めていた中学三年生のあの日。  翔に俺のおっぱいフォルダを見られた。    死ぬほど恥ずかしかったけど、俺はこれをチャンスだと思った。  あの時、とっさに「女の子ととのエッチに備えて、おっぱい舐める練習をしよう!」なんて口走った自分を褒めてやりたい。しかも、ドン引きされるかと思いきや、翔は素直にOKしてくれて……マジ天使かと思った。翔に穢れがなさすぎて、自分が恥ずかしくもなったけど……。  でも心のどこかで、翔なら、俺のこういう変態的な申し出さえも受け止めてくれるっていう確信があったような気がする。俺はずっと、翔に受け入れてもらい続けて来たからだ。  あの日、翔におっぱい舐められたあの瞬間の感動を……俺は一生忘れない。  だって、だってだ、普段、性の匂いなんかこれっぽっちも感じさせない爽やかな翔が、ちょっと緊張気味に、気恥ずかしそうに、赤い舌を伸ばして俺の乳首を舐めたんだぞ?  翔は俺の舐めてるとこ見て興奮するって言ってたけど、それは俺も同じだ。翔が真面目に俺のおっぱい舐めてくれてるっていう絵面にも、あの無垢で爽やかな翔のものとは思えないような舌の感触のエロさにも、一瞬でイきそうになるくらい興奮したんだ。    想像してたのよりずっと気持ちよくて、エロくて……自分でオナニーするよりもずっとずっと気持ちがよくて、びっくりしたあの衝撃。  こいつ以外の誰かとセックスなんかしたくない、翔と、もっともっとエッチなことがしたい、翔の一番になりたいっていう思いが爆発したあの日から、俺は本気で翔のことしか見えなくなってた。 「瀬名、シャワー行く?」 「んー……ちょい待ち。腰だりぃ……」 「あ、ごめんな。やりすぎた?」 「やりすぎじゃねーよ。……もっと、したい」 「え」 「だって……翔とエッチすんの、すっげ気持ちいいんだもん」 「……瀬名」  横向けになって寝っ転がっている俺の頭を撫でていた翔が、目を丸くする。そしてふっと目を細めて俺の隣に寝そべると、軽く額にキスをしてくれた。 「そういうこと言われると、もっと頑張りたくなるんだけど」 「べ、別にそんな意味で言ったわけじゃねーけど」 「そういえば、今日はまだあんま舐めてなかったなぁ」 「あっ……ちょ、」  翔は裸のまま俺の上に四つ這いになると、着たままだった俺のTシャツの裾を咥えて、するすると胸の上までたくし上げた。そして「舐めやすいように、ちゃんと持ってて」って……そんなことを言われたらもう、俺のちんこはまた……完勃ち。 「……はン……ぁあっ……」  翔のあったかい舌が、尖った俺の乳首に絡みつく。押し付けられて、ぬるりとうごめいて、ぺろんと舐め上げられて……そのひと舐めだけで、ゾクゾクするような甘い快楽が俺の全身を包み込み、身体の奥がじんと熱くなる。 「……あ、ああ、翔……っ」 「前から思ってたんだけどさぁ、瀬名の乳首って色薄いよね」 「は、はぁっ!? ……ん、んんぁっ、」 「こんなに舐められまくってんのに、薄いピンクとか……なんつーか、エロい。ほんっと、かわいい」 「ぁ、ああ、アん……っ、ん、」  のんびりした口調で普通に喋りながら、翔はれろ、れろと舌の腹で俺の乳首を舐め回してる。もう片方の乳首も指先でふにふに押し潰したり、つまんだり引っ張ったりしながら、唾液たっぷりのエロい舌遣いで俺のおっぱいを愛撫して、吸って、揉んで……ぁあ、もう……マジ最高……。 「はっ……ぁあ、あ、イイ……かける……、いい……っ、もっと……」 「……瀬名ってさ、エッチしてるとき、甘えん坊だよな」 「あまえんぼって……はぁ!? バカにすんな……ァ、ああ、」 「バカになんてしてないよ。かわいいなって思ってる。ほんとだよ?」 「あ……っ!」  じゅううっときつく吸われて、きゅっと指でつねられたら、背中が跳ねてバカみたいに高い声が出た。はぁはぁ言いながら翔を見ると、翔は唾液で濡れたエロい唇で低く笑って、俺の尻に指を……。 「ぁ! こらっ……何、」 「舐められながら前立腺いじられたら、どうなるんだろうな」 「へっ!?」 「やってみよっか」  翔はそう言ってもう一度俺のおっぱいに舌を伸ばして、同時に中に入れてる中指を、やわ、やわと動かし始めた。 「ぁ、ああ……あッ……!!!」  どこまでもソフトタッチで中をいじられて、同時にねっとりと乳首を舐められた。そのあまりの快感の強さにビビった俺は、握りしめていた自分のシャツをさらに強く掴んで、悶絶……。   「あ! かけるっ……!! ぁ、ああ、あ……っ!」 「どう……? こんなの」 「んはぁっ……!! や、あ、すげっ……ぁ、アァん……っ!」 「刺激強すぎ? やめる?」 「や、やだぁっ……、あ……あぁ、も、むり、イきそ……っ、イきそぉっ……!」 「えっ、もう? すごい敏感……ほんっと、かわいい」 「ぁあ……あ、イくっ……!! イくっ……!! ああ、あああっ……!!」  真っ白になる。マジで。  何が起こったのか分かんねーくらい、刺激的で、イった後もまだ、身体中がじんじんして、絶頂感が止まらねー……。  あっという間に射精した俺の腹の上には、とろんとした白濁液が飛び散ってる。俺は、霞む頭で翔を見上げた。  すると翔は、呆然としてしている俺を見下ろしながらゴムの箱に手を伸ばし、びっくりするくらいデカくなってるちんこにそれ、つけて……。  ――ふわ、こんな状態で……また、挿れられちゃうってこと……? 「……も、無理。いい?」 「えっ……?」 「そんなエロい反応見せつけられたら……」  翔は俺の膝頭を掴んで脚を開かせると、アナルにローションを馴染ませながら、どことなく切羽詰まったようなため息を吐いた。されるがままになりながら翔を見上げてると、ちゅぷ……と翔の先っぽが俺のアナルに押し付けられる。 「んぁ……っ」 「ごめん、ちょっと、加減できないかも」 「ぁ、ああああ、ああっ……!!」  いきなり、ずん、と奥まで貫かれて、イったばかりの身体に衝撃が走った。さっきまで指でマッサージされてた前立腺をすごい圧力で擦り上げられ、とぶ……と俺のちんぽからはまた、透明な体液があふれ出す。  翔は身を乗り出して、叩きつけるようにガンガン俺を攻め始めた。さっきまでの優しい表情から余裕がなくなってて、すっげー切なげな顔で、俺を攻めて……。  ――やべーってそのは顔は……っ。はぁ、もう、たまんねー……。 「ぁ、あ、ああ、ああ、あっ」 「はぁっ……あぁ、っ…すごい、瀬名の中……すっごく、気持ちいいよ……っ」 「あ、かける……ぁ、あん、んっ……んんッ!!」 「ごめん、止まんないわ……ごめ、……ぁあ、はぁっ……」  翔の気持ち良さそうな声、めっちゃくちゃ燃える。身体も心もとろけそうで、やべ……も、なんか、涙出そ……。翔とのセックスは、まじで、最高。最高だし、それに……。  翔と両想いになれたことが、俺は幸せでたまんねーよ。  

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