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第2話
「嘘つき」
「嘘じゃない! ビーカー以外の物質は溶けるんだ」
そう言うなり、令司は薬を泰彰のマンガに掛けた。
「何するんだ!」
しかし、泰彰は目を疑った。
本は煙となって、消えてしまったのだ!
「成功だ」
「あの本、高かったんだぞ!」
「世紀の発明に、犠牲は必要だ」
「買って返せ!」
マンガは買って返す、という約束を令司と交わし、泰彰は改めてビーカーの薬を眺めた。
「コレ何に使う?」
「そこまでは考えてなかったな」
「令司。人の心を溶かす事はできない?」
「心臓を溶かすと死んでしまうぞ」
「心臓じゃなくて、心!」
泰彰の頭には、同じクラスの相葉 尚(あいば なお)の姿が浮かんでいた。
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