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第5話

「それは違う、相葉」  泰彰は、勉強ができるのと、頭が良いのとは違う、と主張した。 「令司を見ろ。模試ではトップの成績なのに、役に立たない発明ばっかりしてる」 「役に立たないとは何だ!」 「喧嘩はやめてよ……」  仲裁に入った尚の声が消え入りそうに小さかったので、泰彰と令司は黙った。  しまった、と二人同時に考えた。  きっと尚の両親は、こういう風に諍いばかりしていたのだろう。  嫌な記憶を思い出させてしまった。 「宿題を済ませよう。相葉くん、俺が教えてやるから」  令司の言葉で、この日は済んだのだが、泰彰は反省していた。

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