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第16話

「完成だ!」  令司が理科室へ駈け込んで来た。  泰彰と尚は、顔を見合わせ笑った。 「何ができたんだ?」 「人に迷惑のかからない薬にしてよ」 「馬鹿にするな」  そう言う令司の手には、透明の液体が入ったビーカーが。  令司はそれを掲げて見せた。 「これは、キスしたくなる薬なんだ!」  泰彰と尚は、赤くなった。 「誰がこれを飲めばいいのかは、解るな?」  ちょっと待てよ、と泰彰は焦った。 「その薬、ちゃんと実験したんだろうな?」 「実験なんかしなくても大丈夫。薬を飲んだ人間の結末は、俺には解っている」  令司は、2つの紙コップにビーカーの薬を分けた。 「恥ずかしいだろうから、俺は準備室へ戻るよ」  デスクの上に残った、コップ。 「な、何言ってるんだろうな。令司の奴」  泰彰は薬を捨てようとしたが、尚は動かなかった。

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