16 / 17
第16話
「完成だ!」
令司が理科室へ駈け込んで来た。
泰彰と尚は、顔を見合わせ笑った。
「何ができたんだ?」
「人に迷惑のかからない薬にしてよ」
「馬鹿にするな」
そう言う令司の手には、透明の液体が入ったビーカーが。
令司はそれを掲げて見せた。
「これは、キスしたくなる薬なんだ!」
泰彰と尚は、赤くなった。
「誰がこれを飲めばいいのかは、解るな?」
ちょっと待てよ、と泰彰は焦った。
「その薬、ちゃんと実験したんだろうな?」
「実験なんかしなくても大丈夫。薬を飲んだ人間の結末は、俺には解っている」
令司は、2つの紙コップにビーカーの薬を分けた。
「恥ずかしいだろうから、俺は準備室へ戻るよ」
デスクの上に残った、コップ。
「な、何言ってるんだろうな。令司の奴」
泰彰は薬を捨てようとしたが、尚は動かなかった。
ともだちにシェアしよう!