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第2話

披露宴会場に行く前にトイレに立ち寄り、悟は手を洗った。 冷たい水の刺激で頭を冷やそうと思ったのだが、ますますムカついて来た。 「こんなところにノコノコ来るとは、俺は馬鹿か」 社内では一番仲のいい同期と皆に認識されていたので、無神経にか、仕方なくか送られてきた招待状を無視するわけにはいかなかった。 とは言え、悟の怒りが収まらないのは、友喜がふた月ほど前まで悟と1年に渡って半同棲生活をしていたからだ。 半年前、新作のブランドバッグを買うためにわざわざ会社まで小遣いをねだりに来た重役の娘に、友喜は受付前ですれ違いざまに一目惚れされ、父親も動員しての猛アタックの末、さらわれたのだ。 重役の娘の積極的なアピールに最初こそは戸惑っていたが、彼女がそこそこ美人だったのと、もともと上昇志向の強いところにぶら下げられた、出世の階段という人参に友喜はあっさりなびいた。

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