もともと自己中な奴だとは思っていた。 友喜とは同期入社で、新人研修の合宿中に口説かれた。 新入社員の中で群を抜いて美しい容姿を持ち、頭も良く、プライドも高い悟は、ゲイだということを秘密にしていた。 だが、友喜は悟の性癖を確かめることもせず、屈託無く誘ってきた。断られることも想定してないような積極的で真っ直ぐな好意を寄せられるのは悪い気はせず、顔もいささか軽薄そうではあったがとてもハンサムで、何より自信に溢れる態度が好印象で、悟は彼を受け入れた。 最初に自己中だと思ったのは、初めてセックスした時だった。 友喜は悟の意向を全く聞かず、一方的に悟の中にねじ込んだ。 俺様な性格からそうだろうとは思っていたが、悟の戸惑いを無視しての行為は不快だった。 悟がそう抗議すると、 「まあまあ」 と言いながら、うやむやにして笑った。 自己中でいい加減、それが彼の悪い方の印象だったが、セックス以外ではまめに悟の機嫌を取り、優しく接して来るので、悟も多少の不満は飲み込んだ。 まめな性格とハンサムな容姿は仕事面でもいい方に働き、同期では出世頭で、恋人として好ましかった。