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第5話
友喜から押しまくられて付き合い始め、受けに回ったことは不本意だったが、悟なりに真剣に彼を思うようになっていたので、この裏切りは悟を激しく傷つけた。
悟は渡されたミネラルウォーターのボトルを投げつけて叫んだ。
「バカやろう!さっさと出て行け‼︎」
手を洗っても落ち着かなかったので、悟は式場の庭に出た。
ロココ調の建物に似合う幾何学模様に整備された庭は、鬱蒼と茂った木々が裏山へとつながる野生味あふれた庭につながり、裏山の小高いところにある東屋に通じる小道が整備されていた。きれいに掃かれた道の所々にガーデンベンチが置かれているのが見えるが、今日は披露宴は友喜たちひと組だけで、それももうすぐ始まるというこの時間に庭にいる者などいないはずだった。
悟は室内に戻る気にもなれず、ぶらぶらと裏山に通じる小道を歩いていたが、茂みの向こうに曲がった道の先に人の気配を感じて立ち止まった。
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