9 / 24
第9話
「結婚しても僕と今まで通り付き合いたいって言われました。浮気に変わりないって」
「あんのゲス野郎」
悟は口に入れたアタリメの欠けらをギリギリと噛んだ。
史彦は、友喜の提案にびっくりしたが、らしいなとも思った。
だが、悟について聞いた事への返事が史彦を打ちのめした。
「桐谷さんともこのまま付き合うんですか?奥さんと3人じゃ、大変そうですね」
本音と皮肉を込めて言った。
友喜は史彦を胸に抱えたまま、真面目な顔で言った。
「悟とは別れる。あいつはそんな風には付き合えない」
史彦は、悟がそんなに大事にされている一方で、自分は都合よく扱われているのがどうにも辛くて、結婚式を台無しにしてやろうと、ペットボトルを持って式場に行った。だが結局勇気がなくて出来なかったと泣きながら、何杯目かの酎ハイをあおった。
ともだちにシェアしよう!