史彦は友喜に大事にされていると悟を羨ましく思っているようだが、改めて知る友喜のクズっぷりに悟は怒りを通り越して、もはや開いた口が塞がらなかった。 友喜は史彦の性癖を見抜いた訳ではなく、いいと思ったら後先考えずにアタックしただけだと、自分の体験を踏まえて知っていた悟は、純情な史彦が可哀想になった。 自分がゲイだと誰にでも話せる人はあまりいない。 友喜はあまりにも軽々しく誘うので、誘った男がノンケだったら冗談にしてしまいやすい。そんな奴は少数派だ。大概は、自分の性癖に多かれ少なかれ悩んでいる。 悟にしても、彼の性癖を知っているのはごく少数だ。会社には友喜以外に知っている人はいない。史彦のような内気で繊細なタイプは、自分の秘密を抱え込んでひとり悩み苦しんでいただろう。 史彦が友喜にあっさりオトされたのも頷ける話だ。 目の前で、枝豆をくわえて落ち込んでいる史彦を、憐憫の思いを込めて見つめていたら、悟の中に久しぶりにある感情が湧いて来て、驚いた。