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第21話
「もう、帰れ」
穏やかにそう言った悟を、なおも未練がましく友喜はしばらく見つめていたが、悟はもはや自分のことを愛していないと言うことを渋々認めた。悟に促がされて、友喜が帰ろうと踵を返したとき、人影が現れた。
「あっ…」
「え?」
友喜は突然現れた史彦を見て、事情が飲み込めず混乱しているようだった。
悟は同じように混乱して立ち尽くしている史彦の腕をとると、自分の背後に回らせて、友喜にいった。
「お前は本当にゲスでクズで最低野郎だけど、史彦と巡り合わせてくれたことだけは感謝している」
キョトンとしている友喜に史彦も言った。
「僕も感謝しています。悟さんをくれてありがとう」
史彦を庇うように立っている悟と、悟の陰から悟の腕に手を添えてこちらを見ている史彦を見て、友喜は目を輝かせて言った。
「2人とも、やっぱすげえ美人だ!俺が見初めただけのことはある‼︎なあ1回だけでいいから3Pやろ…」
バンッと音がして、友喜の目の前でドアが閉まった。
もういくらチャイムを鳴らしても、開くことはなかった。
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