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第23話
悟のそばにしゃがんで、顏を覗き込んできた史彦を抱き寄せると、唇に自分の唇を押し付けた。
史彦は、驚いたのか一瞬体を硬くしたが、すぐに悟にしがみついてきた。
悟のキスに激しく応えながら、史彦はポロポロと涙をこぼした。
「も、もう会えないと思ってた。ボロ雑巾みたいに捨てられた僕なんて、興味ないだろうって…。あの日あなたが僕を抱いたのは単なる鬱憤晴らしだったのに、僕はあなたが忘れられなくなりそうで…。だから、配達区域も変えて、あなたに出くわさないようにしようと…」
「史彦、ふみ、会いたかった」
史彦の返事を聞く前に、悟の意識はなくなった。
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