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EP.25
服も全て乾燥し終わり、やっと服を着れた海はくしゅんと小さくくしゃみをした。
今は部屋に1人だけだ。泉帆はもう暗くなってしまったからと急ぎ薬局まで買い物に出ている。
自分を、抱くために。
避妊具の種類だとか、自分にどれが合うかだとかわからないと言っていた泉帆にはちゃんと説明もした。少し心許ないから潤滑剤も頼んだ。
今更、緊張してしまう。泉帆は経験もないし真面目で誠実。でもこの年まで禁欲的な生活をしてきたから、一度箍が外れてしまい爆発してしまったのだろう。獣のような本能丸出しの表情に、今日何度生で欲しいと言いそうになったことか。
童貞なのが信じられないほど素敵な人だと思う。顔だって悪くないし優しいし、一流企業を辞めて警察官なんてことなかなかできることじゃない。何より、売春を繰り返していてもなかなかお目にかかることができないサイズだ。
正直な話をすると、海は決して童貞相手が嫌だったわけじゃない。泉帆は何も知らないから利用しただけ。
寧ろ、慣れた相手よりも童貞相手の方が好きだった。何も知らない無垢な男を押し倒して、騎乗位で限界まで搾り取る方が好き。その中でもしつこくなく、次回以降もホテル代を出してくれそうな男だけを育て上げ、他の男達とも遊ばせて慣れたところでまたつまみ食い程度に遊ぶことの繰り返し。
ただ、この界隈だと初モノはなかなかいない。だからそうなるのはほんのひと握りで、泉帆に見られたあの初老の男性は初対面の遊び人だった。
そういえば、泉帆とこうなるなんて思っていなかったからまだ男達をキープしていた。本気じゃないとお互いに割り切っていて、でも会える日があれば優先的にホテルに行って遊ぶ仲。
全員に彼氏ができたからもうおしまいだと連絡しなければ。ついでにあの黒いスマホも解約してしまおうか。
そんなことを考えながらも、泉帆が帰ってくるのをそわそわと待つ。食材は買ってないから今日は料理をすることだってできない。手持ち無沙汰で、それでも何もできなくて。
改めてシャワーだって浴びてしまったし、入り口部分しか使わないからとそのまま洗浄せずにプラグを抜き差ししていた胎も綺麗にした。何なら解し終わって、挿入するだけにしてもいる。
正座したまま、泉帆を待つ。暫くそのままで玄関を見つめていると、ドタバタと階段を駆け上る音が聞こえ、ほんの数秒後に鍵を開けた泉帆が勢いよく玄関に飛び込んできた。
「走ってきたの?」
「……考え事してたら、勃っちゃいそうで」
「ふふ、可愛いなぁ。おかえりなさい」
「ただいま。ごめん、ちゃんとサイズ合ってるかわかんない」
「入ればいいんじゃない? 1番おっきいの買ってきた?」
「一応、うん」
鍵をかけ、部屋に入った泉帆からレジ袋を受け取ると中身を確認する。避妊具に潤滑剤に、三連のプリン。
「食べたいって言ってたから、後でどうかなと思って」
「ありがと、一緒に食べようね。……もうしたい? できる?」
昼、何回も出させたから少し不安だ。海はプリンから目を離して泉帆の方を振り向く。
すぐ側に座っていた泉帆は、既に臨戦態勢になっていた。ズボンのフロントはギチギチと音を立てそうなほど圧迫され、表情もいつもの穏やかなそれとはまるで違う。
「ごめん、俺自分で思ってたより性欲強いみたい」
「……う、ん。わかった、ちょっと待って」
避妊具のパッケージを開け、個包装の封を切った。それは口に咥え、両手で泉帆のそれを窮屈なチノパンから解放させてやる。
限界まで熱り立つそれに手を添え、先端から唇と舌を使いゆっくりと装着させていけば、泉帆は男臭い息を吐きながら海の頭を撫でてきた。
「早く、抱きたい」
「待って、電気消してから。……あの、ほんとに萎えない?」
「これ、そんなすぐに萎えると思う?」
「……ううん、そんなことないけど」
海は今更少しばかり怖気付いた。これで自分が全裸になった時、萎えられてしまったら怖い。でも逆にもっと興奮されたら、こんな凶器レベルのもので乱暴に突かれてしまう。
電気を消し、ゆっくりと自分の下衣に手をかける。薄暗く、窓の外からの光しか届かない室内。海は膝まで中途半端に脱ぎ、泉帆の腕を引きながらベッドの上に四つん這いになり初めてそこを見せた。
片手で欲は押さえ、足を閉じなるべくそこだけを意識してもらえるように。
「みずくん、ゆっくりね……?」
幸い、萎えてはいないようだ。暗がりで泉帆の表情は見えないが、後半は息遣いから伝わる。後ろ手に泉帆を誘導し、潤滑剤を使わせながら秘めた場所へと先端を触れさせた。
次の瞬間、ぐっと無理に先端が押し込まれた。海は小さく悲鳴を上げ、駄目だと枕に手を伸ばす。
これは、いけないかもしれない。視覚ではわかっていたつもりだったけれど、こんな巨根これまで全然経験がない。ぷるぷると震えてしまいながら、海はゆっくりだと泉帆に何度も呼びかけた。
「ゆっくり、もっとゆっくり……っ…」
異物が胎の中に入り込み満ちていく。どれだけゆっくり挿入されても、息が苦しい。
きつい。痛い。海は久々の性行為による痛みに浅く呼吸を吐きながら、泉帆を受け入れた。
「ぜんぶ、はいったね」
もう奥まで当たっている。それ以上奥はS状結腸で、これまで玩具でないと当たったことはないからあとは引き抜くだけ。
だが、泉帆はまだだと更に腰を押し付けてきた。
「ごめん、あと2cmくらい……」
「うそ、待ってだめ、まだ、後でじゃないとほんとだめ……っ!」
最初から直腸ぶち抜きなんて、死んでしまう。海は泉帆を必死で止め、甘えるように声を出した。
「ゆっくり抜いて、AVみたいに浅めにずぼずぼして……?」
初めてだから、ちゃんと海の言うことを聞いてくれる。ゆっくりと引き抜き、浅いところでのピストンは此処がいいと丁度前立腺に当たるところで強請る。海が腰をくねらせ刺激を求めれば、泉帆の動きが不意に止まった。
低い喘ぎ声と、中の欲望の動き。泉帆は一度の抜き差しとたった少しの海からの刺激で情けなくも射精してしまっていた。
「みずくん、いっちゃった?」
「……ごめん…」
「ううん、いいよ。ちょっと一回抜いて、ゴム変えよっか」
まさか、これだけで射精するなんて思わなかった。引き抜かせ、自分の肉欲は見せないようにしながら避妊具を交換させる。まだ慣れていないだろうからと全てしてやる形で、海は泉帆の世話を甲斐甲斐しく焼いた。
「もっかいして早く慣れよっか。これで童貞卒業なんて誰にも言えないもんね?」
「……ほんとごめん」
「可愛いからいいよ。おれとするの気持ちよかったんだ? ゴム全部使っちゃうくらいいっぱいしようね、ほらもう一回」
泉帆は先程と同じように四つん這いになり、ふりふりと揺らして強請ってみせる。泉帆はその腰を掴み、今度は慎重に浅くピストンを繰り返し始めた。
まだ理性がある、ぎこちない動きに胸が締め付けられてしまう。可愛い。とても可愛い。今すぐ押し倒して、限界を迎えるまで食べてしまいたい。
でも相手は泉帆だから。大切にしたいし、長く愛されたい。海は今度は自ら求めることはせず、ただ泉帆が気持ちよくなれるよう身体を提供した。
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