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お前とだから大丈夫.2
風呂に行こうと誘ったけど返事がなかったから、オレは五分悩んで先に入浴を済ませた。
眠ってしまったのをそっとしておくのと、重たいからだを引っ張ってでも風呂に連れてくのとどっちが正解だったんだろう。
オレがくたくたになる度、凌平はその判断を見事にうまくやってのける。
オレもそれが出来たらいいのに。
未だに今日の選択が正しかったのか分からないまま部屋に戻ると、凌平はまださっきの姿勢で眠っていた。
せめてベッドに上がれと促すのがはなまる百点だったのかも。
オレは手に持っていた洗濯物やらを自分のベッドに放って、凌平の隣に腰を下ろした。
肩に掛けたタオルで髪を拭きつつオレもベッドに頭を預けると、凌平の焼けた肌やまつ毛が良く見える。
そのまま凌平の寝顔を眺めていると、なにか夢でも見ているのか眉間がきゅっと寄って、んー……と少し唸りはじめた。
悪い夢を見ているのかもしれない、起こしたほうがいいか。
悩んでいる間に凌平は今度は身をよじる。
うん、やっぱり起こそう、このままじゃからだを痛めるかもしれない。
そう決意して肩に手を伸ばそうとしたオレは、ふと目に映ったものについ固まってしまった。
妙に色っぽい声が凌平から漏れたと思ったら、そのジャージの下がゆるく勃っていることに気づいてしまったからだ。
「……っ!」
こんなの、あの日のことを思い出さずにいられない。
あの日――凌平の手で抜かれた時のことだ。
情けないことに出してすぐ寝落ちしてしまい、その話はまだ一度もしていない。
忘れてくれだとかごめんだとかが何度も喉のすぐそこまで出てきたけど、とうの凌平があまりにあっけらかんとしていたからその度に飲みこんできた。
動揺しているオレがおかしいのかもしれないと思った、男子校あるあるだって凌平が言ってたし。
それでもオレにしてみればとんでもない出来事で、毎日毎日心の中に大嵐を吹かせていた。
大事な友だちにあんなことをさせてしまったこと、それから、凌平だって勃ってたくせにはぐらかされてしまったこと。
自分ばっかりイイ思いをしたままだなんて、と悔しさと拗ねたような気持ちがまぜこぜのままで。
そう、だからこれはチャンスじゃないか。でも勝手に触るのはまずいか?
抜き合いがあるあるだと言ったって、寝込みを襲うようなのはきっと良くない。
オレは馬鹿だけどそういうところは真面目なんだ、自分で言うのもなんだけど。
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