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お前とだから大丈夫.4

「凌平はそういうのイヤってこと? 男子校あるあるなんだろ?」 「……確かにそうは言ったけどさ」 「オレは……イヤじゃなかった。今も無理して言ってるわけじゃないし」 「……っ」  何か言いたげにむにゅむにゅと口を動かした後、凌平はそれを飲みこむようにしてベッドに突っ伏した。  もうひと押ししてそれでも嫌がられたら引き際かもしれない。諦めたくないけど。  オレは床の上をかかとで一歩にじり寄って小さく零す。 「てか、見られただけでって言うけど寝てる時から分かってたから」 「……マジ?」 「うん。そんで触ろうと思ったけど勝手にすんのもあれだし起こした」 「っ、マジか……」 「なあ、オレもお前の触りたい。だめ?」 「……………………」  凌平はついに黙りこんでしまった。  たまにオレの顔をチラッと見て、大きなため息をつきながらまた顔を伏せて。  何かと戦っているみたいで、だけどそれが何か分からないからオレは待つことしかできない。  そうしてたっぷりの時間を使った後、凌平は意を決したように顔を上げた。  どうか頷いてくれ、そう願っていたオレに、凌平は「純太がイヤじゃないなら」と言ってくれた。

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