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全然大丈夫じゃない.6

 突っ込んでいた手も引き抜いて、慌てて確認すると凌平からの連絡だった。  無機質なはずの、ただの文字の羅列にすら胸は高鳴る。  応答のボタンをタップして耳にあてれば、鼓膜にきちんと響く凌平の声に泣きそうになった。 「凌平」 『もしもし。純太?』 「うん」 『もしかして寝てた?』 「ううん、起きてたよ」 『そっか。今平気か?』 「ん、平気」  朝はちゃんと起きれたか? と聞いてくれる出来たルームメイトは、いい成果が得られたのだと練習試合の手ごたえを話し始める。  うん、うん、と頷きながらオレは目をつむって凌平の声に集中した。  だけどもっと近くに感じたい、たとえば一緒にいる時、くっついている時みたいに。  どうにか出来ないかと考えて、オレはすぐに名案を思いついた。  リュックの中を探ってイヤホンを引っ張り出す。 『あれ? 純太、声がなんか』 「イヤホンにした。聞こえづらい?」 『そっか。平気、ちゃんと聞こえる。てか夜にごめんな、そろそろ切るか?』 「だ、だめ!」 『そう? じゃあもうちょっと』  ぎゅっと耳の奥につっこんだイヤホンから、体内に直接響くような凌平の声が堪らない。  ひと声発せられる度、凌平がふっと笑う度に腰が震えて、オレはとうとう我慢できなくなった。  中途半端になっていた熱がぶり返してきて、オレは後ろめたさを感じながらもまたパンツの中に手を入れた。  触れているのは変わらずオレの手だけど、凌平の声があるだけでこんなに違うものか。  とろとろと零れる先走りをすくう動作すらしびれるくらい気持ちが良くて、漏れる声が隠せない。 『……純太? どうかしたか? なんか息苦しそうだけど』 「ん、だい、じょうぶ……な、凌平、名前」 『名前?』 「呼んで、オレの名前、聞きたい、おねがい、りょうへ、」 『っ、純太、お前……』  ――ひとりでしてんの?   たったそれだけ問われただけでイきそうになって、オレは慌ててパンツの中でぎゅっと握りこんだ。  全然イけなくて困っていたのが嘘みたいで、でもまだその瞬間は欲しくない。  もっと凌平を感じたいから。

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