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それって最強.11

 試合中と同じくらい真剣に、オレは廊下を走る。寮だって学校と同じく走ったら怒られるけど、今はそれどころじゃない。オレたちの部屋は二階に上がって奥のほう。階段を二段飛ばしで駆け上がると、部屋のすぐ手前に凌平の背中を見つけた。 「りょ、凌平!」  息を切らしながら叫んで、振り返った凌平に駆け寄る。ああ、凌平だ。思わず抱き着きたくなったのをどうにか我慢して凌平のジャージを掴むと、どこか気の急いた凌平が部屋の中へとオレを押しこんだ。   「純太……」 「凌平……」  扉が閉まったと同時にくるりと立ち位置が入れ替わって、オレはいつの間にか背中を扉にくっつけていた。そんなオレにぐっと顔を寄せる凌平。うわあ、すげえ近い。ただの友だちにこんなことしないでほしい、特にお前に恋をしているオレはご丁寧にドキドキしてしまうから。  走った時よりテンポを上げる心音に鎮まってくれよと願いながら、オレは凌平の肩に額をあずけた。昨夜のことが恥ずかしくて消えてしまいたくたって、凌平を目の前にしてしまえば吸いこまれるように触れずにはいられなかった。 「おかえり」 「うん、ただいま」 「さっきマジでビビった。いつからオレがいるって気づいてた?」 「んー、トイレじゃね? って言われた時くらい?」 「すげー最初のほうじゃん」 「うん。で? なんで隠れてたわけ? 俺、純太に会うの楽しみにしてたんだけど」 「それは……って凌平なんかキャラ違くね?」

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