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「どうした?具合でも悪いのか?」
「来るなよぉ」
オレは半泣きで訴えた。しかし、その願いも虚しく、冬馬は背後から覗き込んでくる。もう既にルームウェアに着替えていて、オレだけがまだ真っ裸 にバスタオルだ。それだけでも恥ずかしいというのに。
不自然に持ち上がったタオルに、気がつかなければいいと思った。
冬馬がオレの隣で胡座をかく。そして、耳許に顔を寄せた。
「詩雨……初めてなんだ……?」
気づかれてしまった。しかも、“初めて”だと言い当てられた。恥ずかしさで心臓は、爆発しそうなくらいの音を立てている。
「さっき……悪かったな。からかい過ぎた ── 大丈夫。恥ずかしいことなんか、ない。大人になったら、当たり前のことだ」
その声には、馬鹿にしたような感じもからかうような感じも何もなかった。優しくて、何処か甘い。
やおら冬馬の手が伸びてきて、するりとタオルの内側に入り込む。やや勃ち上がってきているオレのに温かい手でそっと触れてくる。
「怖くない。大丈夫……俺がしてあげるから」
冬馬は一旦オレから手を離すと、尻をついたまま移動してくる。オレと向かい合う形を取った。
「力抜いてて」
再びタオルの内に手を滑り込ませる。
冬馬の言葉は魔法の言葉だ。オレは逃げだすこともできる筈なのに、動くこともせず従ってしまう。
初めは指ですうっとなぞったり先っぽをちょんちょんとつついたりしていた。それから、薄い毛の部分や双つの珠もさわさわと撫でる。
いきなり握られて、びっくりしてお湯から飛び出したオレへの配慮なのか。しかし、これは何だか却って……。ぞくぞくと全身を何かが這い回るようで、余計にクルものがある。
( なんなんだ、これは…… )
初めての感覚だった。
ふ……っと、思わず口から吐息が漏れる。自分で見ていなくても解る。オレのそこはさっきよりもかさを増しているに違いない。
オレの身体と気持ちの変化を感じたのか。冬馬は、タオルを割ってオレのを内側から出した。自分が思ったよりも勃ち上がっていて驚く。これが自分のものだとは思えなかった。
冬馬はその大きな手で包み込み、ゆっくりと擦ったり、上下に動かしたりした。
「んっんっ」
恥ずかしい声が出そうだ。口は懸命に閉じているが、声が漏れてしまうのは押さえきれない。
「はあ……」
オレは、自分のものではない熱い吐息が髪を掠めたのを感じた。眼の前で胡座をかいている冬馬の股間が、不自然に膨らんでいるのが布越しでも分かった。オレの視線はそこに釘付けになった。
( 他人 のを触ってて、興奮したのか……? )
そういえば、オレの昂りを包み込む手がさっきより熱くなっているように感じた。
「詩雨……」
小さく名を呼ばれて顔を上げると、間近に冬馬の顔があった。
「なんか、興奮して、きた。俺のも、触ってくれる……?」
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