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「え……」  頭が追いつかない。  返答するよりも先に、冬馬の片手がオレの手を引き、短パンの上からその膨らみに押しつける。オレが逃げださないように、オレの手の上から自分の手を重ねた。  それ程強い力ではないのに何故か外せない。  ついさっきまで、オレをびびらせないようにしていた冬馬はいったい何処に行ったんだ。興奮してしまって、思いやる気持ちも吹っ飛んでしまったのか。  自分でさえしたことがないオレには、他人のを握るのはハードルが高過ぎる。  しかし、冬馬がオレのをだんだんと強く扱いていくのに合わせ、オレの身体がびくっびくっと大きく震え、手も自分の意志とは関係なく動いてしまう。  そのせいか、次第にオレの手のなかで冬馬のその膨らみが、大きく固くなっていく。 「ふ……っ」  吐息が零れる。眉間に皺を寄せ、何かに耐えているようだ。  冬馬の手がオレの手を離れたかと思うと、ぶるんと震わせて短パンの内から怒張したものを出した。 「でかっ」  思わず口に出てしまった。  さっき想像していたよりもだいぶ立派だった。眼を奪われている間に、またしても冬馬に手を掴まれ、今度は直に冬馬のそれに宛がわれた。 ( あつい……っ ) 「俺と同じことして」  オレはその熱い屹立に触れながら、冬馬の顔を盗み見た。 ( なんか……エロい顔…… )  ボッと顔に火がついたような気がした。オレはもう何も考えられず、冬馬がしてくれているのと同じリズムで彼のを扱く。 「人にして貰うって、気持ち、いいな」  耳許で吐息混じりに囁く。  掠れた少し甘めのその声に心臓がバクバクする。 (もう、しゃべんなっ)  その直後全身が泡立つような何とも言えない感覚がして、オレは初めての射精をした。  少し遅れて冬馬も、「んっ」と呻いてオレの手のなかに放った。オレの水っぽいそれとは違う、白く濁った精液だった。  オレたちは再び浴槽に浸かっていた。  部屋で軽く後始末をして貰い、今度はちゃんと着替えを持ち、一階のバスルームへと移動した。それまでの間、冬馬は少し気不味げに話しかけてきたが、オレは一言も返さなかった。  そして、今、ふたりとも黙りこくったままだ。 ( なんだったんだ、さっきの出来事は )  お湯のなかでぼうっと考える。 ( 他の人も友だち同士で、ああいうことするの……? )  横を見ると、冬馬は何処かすっきりした顔をしている。  ついお湯のなかの冬馬の性器を見てしまう。もう通常状態だが、さっきの光景が頭に浮かんでまた顔が熱くなる。 ( いやいやいや )  頭を激しく振る。 ( もう、さっきのことは忘れよう )  そうしてオレは、その怒涛の出来事を頭の隅に追いやった。

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