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( 少し勃ってるだけで、これか。でけぇ )
他の男のものなんて見たこともないが、自分と比べて質感も重量も違う。冬馬のそれは、握ったり扱いたりしているオレの手の中で、更に大きく育っていく。
( どんな顔をしてるんだろう )
上目遣いに彼の顔を見ると、もう画面を見てはおらず、眼を瞑ってオレの手に集中しているようだった。
( オレで感じてくれてるのか )
そう思った瞬間顔は、カッと火がついたように、熱くなった。
そのことに気を取られ、冬馬のを弄っていた手が止まる。
その隙を突かれた。
ハーフパンツと一緒に、オレの膨らみ始めた場所を、冬馬にぎゅっと掴まれた。
吃驚して、わっと声を上げてしまう。
呼吸を乱しながらも冬馬がにやりと笑う。
「俺だけなんて恥ずかしいじゃないか」
そう言ったかと思うと、あっという間に手を入れ直にオレのに触れてくる。初めての時のように優しくはしてくれず、急激に追いたてられる。
何故か、競い合うような感じで、互いに扱き合うようなことになってしまった。
「と、とうま、もう……っ」
「うん、俺も」
額をつき合わせ、乱れた吐息を感じながらふたり同時に果てた。
翌朝、広いベッドで眼が覚めた。隣に冬馬が寝ている。
あの後、今度こそ一緒にシャワーを浴び、さっさと着替えて同じベッドに潜り込んだ。冬馬はすぐに寝てしまったようだが、オレはなかなか眠れずにいた。
( ……なんで、こんなことに…… )
翌朝といっても時計を見ると、もうすでに十一時を回っていた。
「おはよう」
冬馬もいつの間にか起きて、声をかけてきた。オレは気まずげに「おはよ」と返した。冬馬の表情はいつも通りで、昨夜のことなどなかったようだった。
軽く食事を済ますと、オレはマンションを出た。
「また学校で」
冬馬はマンション前の通りで見送ってくれた。
── 本当に何もなかったようだった。冬馬にとってあんなこと、独りでしているのと同程度なのかも知れない。
(やっぱり、最悪な誕生日だったな)
オレは鬱々とした気持ちで家路についた。
**
胸の奥に苦しい気持ちを抱え続けたまま、三年が過ぎた。
オレは相変わらずいいヤツのフリをして、冬馬と秋穂のふたりとつかず離れずのつき合いをしている。べったりくっついていても自分が傷つく。そうかといって切り捨てることもできない。
そんな辛い日々が流れていく。
冬馬と秋穂の仲も変化はない。
オレから見ればお互い想い合っているのが丸わかりなのに。本人たちは自分の気持ちに気づいていないのか、それとも隠し通そうとしているのか。
何がそんなに邪魔をしているというのだろう。
オレが秋穂なら。冬馬にあんなに想われているのなら、何が邪魔でも冬馬を選ぶのに。
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