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先程の徐々に力を込められたキスとは違い、いきなり激しく貪られる。けして開くまいと固く閉じた割れ目を、無理矢理抉じ開けられ、ハルの舌に口腔をまさぐられる。
片手できつく頤を捕まれ、顔を背けることができない。
口内余すことなく嘗め回されたかと思うと、舌を絡め取られる。前の比ではない苦しさに、眼の端から涙が滲み出る。
( もう……ムリ…… )
息ができずに朦朧とし始めた時、ふっと解き放たれ、やっと呼吸をすることができた。
荒い呼吸を繰り返すオレの眼に、ハルの満足そうな顔が映った。
「じゃあ、ここは?」
そう言われ初めて気づく。いつの間にか、シャツのボタンを全部外され、中に着ていたタンクトップまでもたくしあげられている。
あの訳が分からなくなるようなキスの間にやったのだろか。その手際の良さに、随分と手慣れているんだと感じた。
オレの胸に手を這わせ、その頂をカリッと引っ掻く。
「ん……っ」
思わず声が零れてしまう。
目蓋の裏に、また、あの日の光景が浮かぶ。
あの時は ── オレが冬馬の手を導いた。感じる筈のない場所なのに、冬馬が触れただけでぞくぞくした……。
ハルが見つめている。
オレの表情から、何かを読み取ろうと。
片手はずっと紐で縛られた両手首を押さえつけ、もう片方の手は胸から離れ、徐々に下方へと移動する。腹を撫で、臍をつつく。
スラックスの上からそこに触れたかと思うと、手早く前を寛げ直に触れてくる。
そこまでするとは思わず、オレは驚いて声を上げる。
「シウさんの、可愛い。縮こまっちゃって。 ── 俺が怖い?」
さも楽しそうに。
( くそ……っ。誰なんだ、コイツは )
何処も彼処も、いつものハルとは違う。
怯えて縮こまったオレ自身を、ハルはその大きな手で握り込み、ゆるゆると扱き始める。
ハルに何かされる度に、冬馬との出来事を思い返してしまう。
オレが冬馬としかしたことがないせいか。それとも、彼が冬馬に似ているせいか。
そして、そう思い返す度に何かを感じ取って、ハルの片眉がぴくっと吊り上げる。
「こういうことも、橘さんと、したんだ? ── はっ、何なんだよ、あんたたちっ」
ハルが声を荒げながら、急に激しく手を動かし始めた。
「くぅ……っ。子どもの……頃の話だ……。ただの、悪戯。冬馬は……何とも思っていない」
( 何で、オレ、さっきから素直に答えてるんだ。こんな、誰にも知られたくないこと )
次第に勃ち上がってくる熱を感じながら、切れ切れに言葉を繋いだ。何か話していないと、オレの口から自分のものとは思えない声が零れてしまいそうで。
言い終えるとオレは、ぎゅっと唇をきつく噛み締めた。
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