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「シウさんは、オジサンなんかじゃないよ。今まで見た誰より綺麗で、魅力的で。その……全く経験がないと思わなかったから」 「うん。オレ、その辺淡白だから。別にしたいとも思わないし、自分でもあんまりしないんだ。冬馬だけは別だけど……冬馬が望むなら……って」 ( やべっ、口が滑った )  思った通り、ハルは顔をむうっとさせた。オレは慌てて、話題を変える。 「あ、そういうおまえは、ずいぶん手慣れてるじゃん」  最中にずっと思っていたが、今これを聞くのは野暮だったか。 「…………中学になって急に背が伸びて……そしたら、夏生の事務所の悪いお姉さんたちが、誘ってくるようになって……。でも……誰のことも好きだと思えなかった。誰かと付き合ったこともないし、付き合いたい奴もいなかった」  むうっしていた顔は次第に真剣さを帯びる。ぎゅっとオレの肩を掴んできて、熱っぽく見つめてくる。 「自分からしたいと思ったのも、訳が分からなくなるくらい熱くなったのも、あんたが初めてだ。そうなんだ……俺が子ども頃からずっと好きなのは、シウさんなんだって。シウさんを思い出した時に解ったんだ」 ( 子どもの頃から、ずっと、ひとりを想っていた。オレと同じだ ) 「ハル……」  オレの肩を掴んでいるハルの手の片方に、自分の手を重ねた。 「ハル、おまえ、今日この後用事あるか」 「いえ」  ふっと力が抜ける。 「じゃあ、もう少しここにいろよ。ほら、中にはいって。そのままじゃ、寒い」  ぽんぽんとオレの横を叩く。 「え、でも」 「いいから、いいから」  少し戸惑った様子を見せたが、「じゃあ」と言って、腰に巻いたタオルを取った。 「えっ」  一瞬オレは固まったが、バスタオルの下はボクサーパンツだった。  ハルがまたオレの顔を読み取る。 「流石に、下は履いてますよ。シャワーの後にスラックスはやだったんで、履かなかっただけ」  ハルはオレが示した隣に潜り込んでくる。 「シウさん、真っ赤。可愛い」 「可愛い、言うな」  オレはぷいっと、ハルに背を向けた。すると、ハルはぴったりとオレの背に身体を寄せ、手を前に回す。 「シウさん……次は、優しくします……」  髪に唇をうずめながら、甘く囁く。 ( 次?次があるのか? )   そう聞き返すのも恥ずかしく、オレは答えなかった。 「今日はそのまましちゃったから。次はちゃんとコンドームもローションも用意して……」 「え…………」  さっきの囁きと同じくらい甘い声で、何だか妙なことを言っている。 「男同士でも、コンドームとか使うんだ?ローションて?」  ぷはっと、ハルが笑う。

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