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「シウさん、何にも知らないんだ。内に出したままだと、お腹壊すんですよ。もしかして、男同士のSEX が、どこ使うかも知らなかった?」
するっと、ハルの片手がオレの尻を撫でる。
変な声が出そうになるのを、慌てて止めて。
オレはどうやら、下も裸だったことに、今気づく。
「そりゃあ、オレだって。そのくらい」
もごもご言う。
冬馬のことがまた浮かんだ。ハルには絶対顔を見せられない。
誤魔化すように。
「っていうか、おまえ詳しすぎない?いろいろと」
「調べた……あんたのこと、そういう対象として見るようになってから……」
手が尻から離れて前に戻り、今度は両手で愛おしむように腹を撫でる。
「シウさんのお腹の中には、オレが出したものが、まだ入ってる……あとで、オレが掻き出してあげますね」
「おまっっ、結構ムッツリだなっ」
さっきからあからさまに言われ、顔が熱くなってくる。
「耳まで真っ赤だ。可愛い」
ちゅっと耳朶に音を立ててキスをする。
「だーからー、可愛い、言うな」
くすくすと耳許で笑い声がする。
それからハルは静かになった。
時々腹を撫でられ、寝ているのではないのが分かる。
重なり合う体温が気持ちいい。
「ハル……オレは、またピアノを弾くよ」
「うん、また聴きたい」
( 今度は……おまえの為に弾ければいいな…… )
オレの内から、冬馬がいなくなった訳じゃない。それ程簡単なことじゃない。
だけど、妙にすっきりした気持ちだった。
自分の内で、凝り固まった何かが崩れたような。
そう、ハルが望んだ通り、オレは壊されたのかも知れない。
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