114 / 123

─ 8

 そう考えようとして、頭を振る。 ( ダメだダメだ、また遙人にツッこまれる ) 「ん。たまに……する。ハルのこと考えながら……ハルとこういうこと、するのかな……って」  オレは観念して、本当のことを言った。  その間も緩急つけて扱くので、声が震えてしまう。 「シウさん、嬉しい」  ちゅっとこめかみにキスをし、耳朶を甘噛みする。  オレのも、遙人のも、更に熱を増す。  オレの方はもうそろそろ限界だ。  そう思っていた時、パッと遙人が手を離す。  また逸らされ、オレの昂りが切なく震える。 「ねぇ、シウさん」  艶を帯びた声で名を呼ばれる。  遙人はオレのだけを再びその大きな手で握り込んだ。 「俺の、触ってくれる?俺、もう、限界。シウさんに触れられながら、イキたい」  懇願する眼。  そういえば、オレは遙人に何もしてあげてない。して貰ってばかりだ。 「うん」  と答えると、遙人は少し驚いた顔をした。もしかしたら、そうは言ってもオレはと思ったのかも知れない。  冬馬ともしたことがあるこの行為に、何故かあの時以上の恥ずかしさを覚える。  俯いて、そろっと触れて。やんわりと握り込む。  遙人の顔は見ずに。 「オレ……ヘタだよ。きっと」 「いいよ、シウさんならなんでも。ヘタでも可愛いし」  頭の上に、ちゅっとまたキス。  きゅんきゅんと胸が鳴る。  いちいち可愛すぎる。  空いている手が頤に伸び、オレの顔を上向きにする。そして、あっという間に唇が塞がれる。  それがスイッチだったかのように、遙人が激しくオレのを扱き始める。拙いながらも、オレもその動きに合わせた。  激しいキス。  最初から舌を絡め合い、息もできない。どちらのものかも分からない唾液が、顎を伝って滴り落ちる。  両方の刺激で全身が粟立つ。 ( もう、ムリ……っ )  オレは手を止め、ぶるっと身体を震わせた。自分の腹にも飛び散るくらいの白濁。遙人の手はぐっしょり濡れているに違いない。  数秒ののち、「んっ」と小さく呻いて、彼もオレの手の中に吐き出す。  オレは荒い息を繰り返しながらも、遙人の“その瞬間”をどうしても見たかった。  色っぽい顔。  オレでこうなってくれたということに嬉しさを感じていると、 「シウさん」  名を呼ばれ、オレはいきなり突き飛ばされた。 ( なんか、この展開って )  欲望を一旦吐き出したオレは一旦落ち着いたが、遙人の方はどうやらそうでもないらしい。  突き飛ばされ、ベッドの上に仰向けに倒れたオレが眼にしたのは、熱く欲を滲ませた瞳。  手の中に吐き出したオレの白濁を、たらたらとオレの腹に滴し、落ち切れなかったものをその舌でべろっと舐める。 「ハル……何やって……」  膝立ちでオレを眺めている彼の欲望は、もう勃ち上がる兆しを見せている。 「わっ」  思わず声を上げてしまった。  そういえばあの日も、遙人はすぐに回復して一回で終わらなかった。  もうきゅんとか言っているレベルではない。 勿論、遙人を受け入れたいと思っているし、自分も愛されたいと思っている。 でも。 ( やっぱ、ちょっと、こわいっ )  

ともだちにシェアしよう!