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遙人は自分の昂りを晒したまま、ベッド脇のチェストの引き出しを開けた。そこは遙人専用に空けてあげた引き出しだった。
そこから、ハンドクリームのようなチューブ状の容器とコンドームをガサッと取り出す。いったいいつ買ったんだ。
「ハル、いつの間に」
「いつか、こういう時の為に」
「それに、これなに?」
「優しくしたいから」
ハートマークが語尾につきそうなくらいにっこりと。何処か意地悪さも含む。
そんな顔をしながら、途中まで下げられたハーフパンツの隙間から、オレの尻をするりと撫でる。遙人の熱を受け入れる場所も軽く触れて通りすぎる。
それで察した。どういう使われ方をするのか。
オレは赤面して何も言えなくなった。あとひとつある、疑問も。
( その大量のゴムなんだーっっ!そんなに使う気かーっ )
遙人はチューブとコンドームを、ポイっとベッドの上に投げると、オレの両膝を割り広げる。少し尻を浮かせるようなカッコウ。
この体勢はキツイ。いや、それもあるけど、何しろ恥ずかしい。後ろの穴も、今はまだ萎えたままのオレのモノも。全部丸見え。
あの時もこんなカッコウをさせられたけど、こんなの何度させられたって、慣れる筈がない。
それに。
「ハル、電気つけっぱなし」
そう。あの時部屋は暗く、サイドチェストに載っているライトの柔らかな光だけだった。
それなのに、今は煌々と明るい部屋の中で、全て晒されている。
「うん」
「電気消して」
「やだ ── シウさんの全部よく見たい」
指先をつつっと太腿に滑らせる。
「キレイなシウさんを全部……その恥ずかしそうな可愛い顔も、ほんのりピンクに染まった白い肌も、俺に舐められ尖っちゃった乳首も ── それから、ここも ── 」
指は腿を伝って上へ。萎えてしまったオレの先端をつんっと、つつく。
ひくんっと身体が震える。
先端から裏筋を通って、更に後ろへ。
「 ──これから、俺のを受け入れてくれる、ここも」
後ろの穴の周りをぐるぐるっと数回回った後、その中心を指の腹で軽く力を入れて押さえる。
「ひゃあっ」と、思わず変な声が出てしまう。
何もかも見られているということにも、それから、その指先の動き、発する言葉にも、羞恥心が煽られる。
自分でそこを触れたことさえも脳裏に甦る。ほんの一度だけ。入口に触れただけ。それ以上は恥ずかしくてできなかった。
「おまえ……」
この先の言葉は出ない。
電気がどうのなんて、言ってられる程の余裕もなくなり、オレはぎゅっと眼を瞑った。
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ほんの少しの間 の後、遙人が動く気配。
心臓がどくんっと跳ね上がる。
ベッドに放られたチューブが頭に浮かんだ。
( アレ、使うのか……いったいどんな…… )
そう思っていると。
両腿にさわっと何かが触れる。動物の毛のような感触。そのあと。
「ん!んんん???」
一瞬、何だかよく分からなかった。
濡れた生暖かい何かが、オレの後ろの穴を被う。更にペロリペロリと舐められているように感じた。そう、まるで動物のように。
オレは、パッと眼を開けた。
「ハル~~なに、やってるんだ~~」
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