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 あることに思い至って首を起こしてみると、オレの股間に顔をうずめている遙人の頭が見えた。  遙人は自分の舌で後ろの穴を舐めまわしていたんだ。 「やめろっ、きたないっ」  そこに口をつけたまま、 「汚くなんか、ないでしょ。さっきシャワー浴びたし」 「そういう問題じゃあ……アレ、使うんじゃないのかっ」  大声でそう言いながら、軽く置かれていた手をすり抜け、片足を蹴りあげる。しかし、遙人はそれを難なくキャッチ。  身体を起こして、掴んだ足首にちゅうとキスをする。オレに見せつけるように。 「アレ?ああ、あとで使いますよ。でも、まず、してあげたいんです」  強引にまたさっきの体勢に戻され、行為を再開する。味わうように何度も舐めまわされ後、窄んだ穴を押し広げ、ゆっくりとオレの内に侵入してくる。 「んん……っっ」  なんとも言えない感触に声が零れる。  もう抵抗する気力もなくなった。ぎゅっと掴まれた足も力を無くす。  でき得る限り奥へと押し入り、内も外も遙人の唾液でべちゃべちゃに濡らしながら、掻き回し続ける。 (……優しく……?オレは、“優しく”されてるの……)  ふとそんなことが思い浮かぶ。  全身にじわりと甘い痺れが回わり切った頃、スッとそれはオレの内からいなくなる。  一抹の寂しさ。 「ごめんね、寂しくなっちゃった?」  相変わらず少し意地悪そうに。 ( もう、そういうこと……言うの……やめて……でも、ちょっと……かも )    遙人の手には、例のチューブ。蓋を開け、ゼリー状のものを、オレの後ろ穴に落とす。化粧水よりも固形感のあるそれを、周りに塗りつけ、それから内側へ。  覚えのある遙人の長くてゴツゴツとした指が、舌よりももっとずっと奥まで入ってくる。ゼリー状のものは内に入るとじわっと溶けるような感じがした。 ( なんか……熱い…… )  ゼリーを塗り込められた場所がじんわりと熱くなる。初めての感触。  最初少しあった痛みもその熱さに飲まれていく。そのじんわりとした熱は、内側から背中と言わず、太腿と言わず、全身へ甘い痺れを呼び起こす。 「シウさん……気持ち良さそう。これ、ちょっと媚薬入ってる……痛い思いさせたくないから」  内緒話のように、耳許で囁かれる。 ( びやく……なに……? オレ……そんな、顔してるのか……?)  ゆっくりとゆっくりとされることに、だんだんもどかしさを感じ始める。  そんな時だ。 「こっちも……可愛がってあげますね……」  遙人が勃ち上がり始めたオレの昂りに、唇を寄せた。

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