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 先端を舌で突つき、裏筋を何度も舐めあげる。それから、ぱくりと飲み込む。ぎゅっとすぼめたり、含んだまま舌を巻きつけたり。 「はぁ……ふぅ……ん」  前も後ろも刺激され、堪らず甘く吐息が漏れる。  オレは眼を閉じ、遙人のすることに意識を集中させた。  後ろに入り込んでいる指は、二本に、三本に増えていく。痛みはなく、少しだけ圧迫感。なんだか、それも気持ちがいいような気がしてきた。  遙人の口の内で、オレのは次第に育ち、じんわりと先走りが滲み始める。  そろそろ限界を感じ、うっすらと眼を開けると、彼の頭をポンポンと軽く叩く。 「ね、ハル。口離して。ダメだから。もう……」 「うん。シウさん、もうイキそうなんだ」 「だからぁ、そこで、しゃべんなっ」  咥えたまま話して震動させるのは、絶対わざとだ。少しの刺激でも、イキそうだというのに。 「そうだよっ、イキそうだから、どけっ」  オレはヤケ気味に叫んだ。普段ならこんな言葉を吐くのにも羞恥を伴うが、今はそれどころではなかった。 「わかった」  今度は口を離して言う。  口を外してくれたことにホッとしたのも一瞬で、何故かぎゅっと根元を掴まれた。  オレは吃驚して、眼を大きく見開いた。早く吐き出したいレベルなのに、そんなことをされたら堪らない。 「おいっハルっ、何掴んで……」  オレは言葉を飲み込んだ。 「ん?」  と、こちらを見る遙人。その口にコンドームを咥え、封を開けるところだった。  疑うことなしのイケメン。  汗を滴らせ、瞳の奥に情欲の炎がちらちら見える。  暴力的なまでの色気。  遙人は空になった袋を、フッとシーツの上に軽く飛ばす。  片手はオレの根元をぎゅっと掴んだまま、もう一方の手で器用にコンドームを着ける。 「ごめん。俺も一緒にイキたいから、ちょっと待ってて」  甘く甘く頭の中に忍んでくる声。  心臓が壊れそうなくらい音を立てる。  全身が粟立つ。  熱い身体が更に熱く、目一杯勃ち上がったはずのそこもまた熱を上げる。  ほんとに……。  この男は。  普段は、無口で、ストイックで。  なのに。  どうして、こういう時だけ、こんなにも雄弁になるのか。  こんなにも、色気を漂わせるのか。  熱にあてられ、頭がぼうっとしているなか、散々解された場所にピタッと宛がわれる。  凶器のような昂り。  ゆっくりと体内に入り込んでくる。 「んん……っっ」  眉間に皺が寄る。  それを見てか、一旦遙人が動きを止めた。  オレの顔を覗き込み、 「シウさん、痛いですか?」  と、心配気に問いかける。  圧迫感は、もちろん指三本とはくらべようもない。でも、痛みは不思議となかった。 「だいじょ……ぶ。……つづけろ」 「良かった」  ホッと小さく息を吐く。 「じゃあ、もう少しはいらせて?」  オレはコクコクっと首を縦に振った。

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