122 / 123

─ 16

 一緒に風呂に入るのは初めてではない。と、いっても、前はシャワーを使っただけだが。やっぱり、今日と同じで髪も身体も綺麗に洗って貰った。  それから。 『、掻きだしてあげますね』  そんな言葉を思い出す。  そう、あの時。遙人は直接オレの内に、欲望を吐き出した。そのままにしておくと、腹を壊すとかで、指を突っ込まれて……。  また、朝から、いや、真っ昼間から、ちょっと大変なことになったけど。さすがに、最後まではしなかった。  オレはその全てを思い返し、また顔を熱くする。  ズルッと滑って。 「ぶはっ」  顔にバシャッとお湯がかかる。 「シウさん、何やってるんです?大丈夫ですか?」  遙人が後ろから、キャッチ。ぎゅっと抱き締める。  あれから一度も一緒に入ったことはない。遙人にはたまに誘われるが、あの時のことを思い出し、とても一緒になんか入れなかった。  それなのに。今。  この体勢はなんなんだ。  オレは遙人の上に、彼に背を向けて座っている。  二度目で。  三年のブランクで。  これは、恥ずかし過ぎるだろう。  確かに、どちらかと言えば大きめの男二人が、この浴槽に並んでも向かい合っても、かなりキツイ。  でも、だからって。  反対側の縁に寄りかかって身体を縮こませていたオレを、遙人はあっという間に自分の膝に乗せ、がっちりホールドしてしまった。  力はそんなに入っていないのに、何故か抜けだせずにいた。 「だ、だいじょうぶ」  手で顔にかかったお湯を払う。  遙人は少し力を抜いて、ふふっと笑う。  ちゅうっと、項にキスをする音。  お湯に浸かりながら、時々そうやって、耳朶を甘噛みしたり、項にちゅっちゅっとキスしたり。 「なぁ、ハル……おまえ、また……勃たせてないか……」  さっきから尻に当たる、この感触。MAXまでは至らないけど、それなりの形を成している。 「すみません。シウさんが可愛くて。こんな状況で、勃たない方がおかしい。大丈夫、ちゃんと、収まらせるんで。シウさんには、これ以上負担かけたくないから」 「…………」  余りにもストレートに言ってくるので、返答に困ってしまう。頭までぶくぶくとお湯に沈んでしまいたい気分だ。

ともだちにシェアしよう!