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第1話
「おい陸、大丈夫かぁ?」
成人式で久しぶりに高校時代の同級生と会って。
初めて居酒屋に行って酒を飲んで。
気が付いたら、車の後部座席に座ってた。
その声は…
「…大介さん?なんで?」
運転席には、見知った顔。
「達也がおまえと剛が潰れたから迎えに来いってさぁ…。ったく、いきなり飲み過ぎてんじゃねぇよ」
そう言われて横を見ると、大イビキを搔きながら眠ってる剛の姿。
「もう~、2人とも調子に乗りすぎ」
助手席からひょいっと顔をだした達也は、全然酔ってなかった。
「2人が浴びるほど飲んでるから、こっちは心配で酔ってられないっての。兄さんが休みの日で良かったよぉ。タクシーで帰るお金なんてないんだからね!」
「ごめん…大介さんも、すみません…」
「まぁいいさ。成人して一発目でこれなら、もう失敗しねぇだろ?」
久しぶりに会った大介さんは、記憶の中よりもずいぶん大人っぽくなっていて。
翔月も…
きっと大人っぽくなってるんだろうな…
記憶の中に残る、20歳で止まったままの兄の姿を、脳裏に蘇らせると。
車窓を流れていく景色が滲んで見えた。
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