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第4話
いつも一緒だった。
初めて出会ってから12年。
親同士の再婚で、突然兄弟になった俺たちだけど。
出会ったその日から、まるで生まれた時から一緒だったみたいに気が合った。
俺は、いつも翔月の後を追いかけて。
いつも翔月の真似ばかりして。
その度に「陸はかわいいな」って頭を撫でてくれるのが嬉しくて。
翔月が笑ってくれるのが嬉しくて。
俺だけに笑っていて欲しくて。
俺だけを、その綺麗な瞳に映して欲しくて。
唐突に、その思いが恋だと気付いた。
「ごめん、陸…」
しぶしぶなからも部屋に入れてくれた翔月は、俺から微妙に視線を外しながら、また謝った。
「ごめんって、なに」
「なにって…だって、俺は…」
「遅くなったけど、あの日の俺の返事を伝えに来たんだ。あんた、一方的に自分の気持ちばっか置いてったから」
いつまでもごにょごにょ言ってるのを、少し強い声で遮ると。
怯えたような眼差しが、ようやく俺の方へ向く。
「…っ…陸っ…」
「俺も、翔月が好きだよ。ずっとずっと、好きだ。翔月しか好きになったことないし、これからも翔月しか好きにならないよ」
あの日、本当はそう言いたかった。
でも、俺が言い出す前に、さよならを言われてしまって。
俺は喉元まで迫り上がった言葉を、飲み込んだ。
飲み込んだ言葉は、甘美な毒となって胸の奥底深くに沈んで。
俺の身体を、じわじわと蝕み続けて。
あの日、あの場所に、俺自身を縛り付けてしまったんだ。
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