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2012年 夏……②
受付を済ませ、三人で個室へ向かう間、直人は竜平のことをこっそり観察した。
はっきりした目鼻立ちの少年だった。肌は小麦色で、黒目がちの瞳は、利発そうな輝きをたたえている。スタイルも抜群だった。小さめの顔に比して、脚はすらりと長い。モテそうだな、と直人は密かに思った。
「あ、電話」
三人で部屋に入ったところで、松岡はチラとスマホを見た。
「悪い、ちょっと出て来るわ」
二人で残され、人見知りの気のある直人はやや緊張した。だが一方の竜平は、物怖じせずあれこれと話しかけてきた。年齢は、直人たちより二つ年下の、高一だという。無邪気な笑顔に、直人はどこかほっとした。
「関根さんも、懐メロが好きなんですか?」
「うん、親が聴いてるのを横で聴いて、何かいいなって思ってさ。……竜平は?」
すると竜平は、意外なことを言い出した。
「実は俺、ずっとダンスをやってたんです。その関係で、音楽もいろいろ研究しました」
「へえ、ダンスを?」
スタイルの良さは、そのせいだろうか。あれこれ聞きたい気もしたが、そこへ松岡が戻って来たため、会話は中断したのだった。
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