29 / 108
第29話 近く
モデルをしているミツナは綺麗で凛々しい。皆が知っているのは、このミツナ。
プライベートな時のミツナは少し子どもっぽくなる。これは、スタジオで一緒に仕事をするスタッフは知らないけれど、マネージャーやとても近い人だけが知っているミツナ。
「あっ……ン」
そして、この時のミツナは……。
「あぁっ…………」
「? 何? 見惚れてくれてんの? ホント、飽きないんだね」
ベッドの中、裸でセットされていない無造作な髪をかき上げながら、自分に跨る俺へ微笑んでくれる。
「ねぇ、悠壱」
「?」
「このまま、悠壱が自分で挿れてよ」
このミツナは色気が溢れてて、俺は見てるだけで頭の芯がぐじゅぐじゅに熟れてしまう。
「ここに」
「あっ……ン」
指で拡げられた孔。
「俺の」
「ン」
「挿れて見せて?」
内壁を撫でるように引き抜かれて、もっとしてとねだるようにヒクつくそこに、熱くて、硬い、ミツナのペニスの切先が触れた。
「ね?」
トマトソースのポークソテーが美味しいと好評だった。最初、怪訝な顔のまま一口目を恐る恐る口に運ぶミツナは面白かった。警戒している子どもみたいな顔。
そして、苦手だと思っていた青臭さの消えたそれに表情をパッと和ませて、二口目をパクリと食べてくれた。
――何これ、めちゃくちゃ美味い。
そう言ってくれる彼はあどけなかった。
食事を終えた後は食器を片付けて、シャワールームへ二人で向かった。いつもは一緒になんて入らない。男同士だし。俺には女性のようにミツナをこの裸で興奮させられないだろうし。だから、別々。けれど、今日は一緒にシャワーを浴びた。待ってられないと言われて、口付けられたら、もう、俺は断れるわけがない。
明るくて、恥ずかしいけれど。
それでも一緒に入って、身体を洗われて。
でも、触れられたらスイッチが入るんだ。ただ撫でられただけで声が出て、その反応にミツナが面白がって、指先が悪戯をし始める。明らかに意図の違う指先に翻弄されて、すぐに感じてしまった俺はシャワールームで乳首をいじられながら一度、イかされた。
けれど、収まることなんてないんだ。むしろ欲しがってしまう。
もっと、って。
早く。
早く、って。
この硬いのが欲しい、なんて、まるで女性みたいなことを考えて。
のぼせないようにと低い温度の湯に当たりながら、そそり立つペニスの前に自分から跪いて口付けた。頬張り、しゃぶりついて、丁寧に舌を添わせて舐め回す。根本にキスをすると頭上で濡れ髪のミツナが呼吸を乱してくれる。それが嬉しくて、何度も何度も、喉奥まで咥え込んで、しゃぶりついた。
――美味しいの?
そう、訊かれたくらい。夢中になってしゃぶってた。
頷くと、ミツナの手が頬を撫でて、深く濃いキスをくれた。舌を絡めて、唾液が唇の端から溢れるようなキス。
「あっ」
美味しいって思った。
ミツナの。
「あぁっ」
シャワーを終えたら、そのままベッドに向かった。火照った身体はもう、疼いてた。だから、言われるままに彼に跨って、そのまま、欲しくてたまらなかったペニスを充てがって。
「はぁっ」
解されて、ヒクつく孔に自分で挿れた。竿に手を添えながら、ズブズブともう何度も貫かれた身体でそれを受け止めていく。
「はぁっ、っ…………ンっ」
ミツナでいっぱいになる。
「あ、あっ」
それが震えるくらいに気持ちいい。
「あぁっ! あっ! ンっ、あっ」
そのまま自分から身体を上下させて、中を擦った。
「あンっ、あっ、あっ」
もう身体が覚えてる。これがとても気持ちいいって。深く繋がった奥もめいっぱいに拡げられる浅いところも、途中擦りられると、ゾクゾクしてたまらないところも全部。
「ぅ、ンン」
「悠壱、夢中になって腰振ってる」
「あ、だって……やあぁぁぁ」
まるで女性みたいな甘ったるい声をあげてしまう。
「あ、あ、あ」
「乳首、好き? いじると中が締まる」
「ン、ん」
そんなところで感じるなんて。女性でもないのに、そんな胸で感じたりして。
「あ、あ、あ」
「痛いのがいい?」
「あぁぁぁっ」
指で乳首を抓られると、吹き飛んでしまう。
「っ、中が、すごい……これ、気持ちい?」
「あ、うん……あ」
「言ってよ、ちゃんと、やらしく言ってみて?」
理性も。
「あっ、乳首、いじめて、欲しい」
恥じらいも。
「あ、あ、あ、あ、抓られるの、が」
羞恥心も。
「これは?」
「やぁぁぁっ、噛まれるの、あ、あ、気持ちい……ミツナの」
男なのに女性みたいに欲しがることを咎める自分も。
「この硬いので、もっと」
諭す自分も吹き飛んで。
残ったのは。
「もっと……犯して……欲し」
浅ましいくらいにミツナを夢中になって欲しがる自分。
「あ、あぁあっ」
「やばい」
「あっ!」
体勢がぐるりと入れ替わる。夢中になって振りたくっていた腰を鷲掴みにされて、奥をぐんっと強く貫かれた。
「あぁぁぁぁっ!」
「えっろ……最高」
そのまま激しく何度もペニスを奥目掛けて打ち付けられて、あられもない声が溢れて止まらない。
「あ、あ、あっ、イってるっ、ぁ! 今、あぁぁっ」
「悠壱……」
「あ、あっ」
「中、気持ちよすぎ……」
「あ、ふっ……んンンンっ」
長い射精なのか、小刻みに何度もイッているのか、もうわからないくらいぐじゅぐじゅに乱されながら、それでも手を伸ばしてしまった。
「いいよ、しがみついて」
「あ、ダメっだっ……」
「悠壱の一番気持ちいいのしてあげるから、掴まってて」
「あ、あ、あっ」
わけがわからなくなるくらい、激しく揺さぶられながら。
「悠壱」
その声に名前を呼ばれて。
「あっ、また……イクっ」
見上げると。
色っぽいミツナが抱きつく俺に笑ってくれた。
「イクとこ、見せてよ」
とても近くて、すぐそこ、息を呑む音すら聞かれてしまいそうな近くに、マネージャーさえ知らないだろうミツナがいた。
ともだちにシェアしよう!