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第36話 ひとり遊び

 欲しくて、欲しくて。  ――シャワー浴びてないよ?  その方がいいなんて、その方が嬉しいなんて。  でも、いっぱいにしゃぶりついてしまう。まるでご馳走を前にしたみたいに口の中が潤んでく。滴り落ちそうなくらい唾液が溢れていく。はしたない、って思うのに。 「そんなに美味しい?」 「っ、ん……ン」  口で、喉奥ギリギリまで咥えて、頬の内側を窄めて硬いそれを扱いてる。 「すげ……悠壱の口の中トロットロ」 「っ、ン」  喉を鳴らすとその口元から喉を撫でられて、ゾクゾクした。 「俺の、溶かされそ……っ」 「ん、ンンっ」  ベッドの端でミツナがコートだけ足元に落とし、服は着たままズボンの前だけ寛げてる。俺はそのミツナのそばでベッドに乗ったまま身体を丸めて、ぺたりと座り込んで、顔を埋めて彼のにしゃぶりついている。  夢中になりすぎて鼻先が濡れてしまうのも構わずに。 「悠壱……っ」  口を離して、根本にキスしてから、裏筋をなぞるように唇で撫でて、先端に口付けた。 「すげ……それ、気持ちい」  髪を撫でられると蕩けそうになる。カリを舌先で丁寧に舐めると、撫でてくれた指で髪を掻き乱されてしまうのがたまらなく興奮した。 「はぁ……」  指先がキュッと俺の頭を掴んだ。 「出そ。離していいよ? すげぇ気持ち良かった、ありが」  イヤイヤと首を横に振った。 「出すよ?」 「ん」 「不味いよ?」 「ん、ン」  不味くていいから。 「なにそれ、エッロ」 「ん、ンンっ」  飲みたい。ミツナの。 「っ、悠壱っ」 「ん、ん、ンンンっ」  名前を呼ばれたのと同時、髪を掻き乱して撫でてくれていた手が頭を逃さないようにしっかりと掴んで、喉奥まで熱が押し込まれてく。 「ん、んんんっ」 「っ、はぁっ」  その喉奥の方で弾けて、頭上でミツナが呼吸を乱してた。そして引き抜かれながら、とろりとしたものが舌にまとわりついて、独特な苦味を。 「っ、はぁ、はぁっ、すげ……気持ち良かった」  ミツナのを舌先に乗せながら見上げると、頬を蒸気させたミツナが苦笑いを溢しながら、着ていたニットを脱いで、ベッドに乗り上げて、俺を組み敷いた。 「あんたが電話に出なくてさ」 「あっ……」  自慰ではどうしたって触れられない肌にキスをされて、甘ったるい声が溢れた。 「焦ったんだ。あんた、帰っちゃったのかって」 「ン、ん」  肌に口付けられて腹の奥がキュッと疼く。 「でも俺が電話してた時、ここでひとりでしてたんだね」 「ん……ンンっ」  指じゃ届かない奥が。 「あんたさ……」 「あっ」  ミツナのでそこを可愛がられたいって、奥が切ない。 「どんだけやらしくなるの?」 「あっ…………」 「前から挿れていい?」  奥まで。 「俺の、挿れられる時の悠壱の顔が見たい」 「ン……」  脚を拡げられながら齧り付くようにキスをされて、舌をまさぐられて、もうすでに達してしまいそうだった。肌への口付けも、濃厚で絡みつくような唇へのキスも、ひとり遊びじゃできないから。 「悠壱、挿れるよ」  指よりもずっと太くて、ずっと。 「っ、すげ」 「あ、ぁ……ああああああっ」  奥まで届くミツナのペニスで貫かれたくて仕方のなかった身体は抉じ開けられただけで達してた。 「悠壱の中、さっきフェラした口の中と一緒」  奥までクンって突き上げられて、甘い声で啼いた。 「トロットロ」  散々自分の指で解した身体は充分柔らかくて、濡れていて、待ち望んでいたミツナのペニスに絡み付いてる。ミツナの形に身体が変わっていく。 「あっ、ンっ……んんっ、あ、そこっ」 「さっき、指で教えてあげたとこだよ」 「やぁぁぁっ」  四つん這いになって腰をしっかりと両手で持たれて、いいところを撫でるようにペニスで擦られて、背中をしならせて喘ぐと、その背中に歯を立てられた。 「覚えた?」 「あっ……ン、あぁっ」  一気に引き抜かれて、名残惜しそうな声をあげてしまった。 「悠壱」 「ン」  振り向かされて、そのまま抱き抱えられた。 「エロい顔してる」 「っ」  ぎゅっと抱きつくようにその腕に引き寄せられて、見上げられると、恥ずかしかった。きっとひどい顔をしてるんだろう。もの欲しそうな。はしたない顔を。  だって、今、しゃぶっていたペニスを抜かれて物足りないんだ。 「今度は、俺の使って、自分でいいところに当ててよ」 「あ」 「支えててあげるから」 「はぁっ」  片手で尻をところを掴まれて、ヒクついてる孔を広げられた。 「悠壱が挿れて」 「あっ」  切先が孔の口に当たった。 「あぁっ」  そしてそのまま身体を沈めていく。 「んんんっ」  ズブズブとさっきまで中で感じてた熱をまたいっぱいに咥えて。 「あっ、はぁ」  教わった場所を探るように腰を揺らした。 「あぁぁっ」  見つかった場所に自分で擦り付けて、自分から気持ち良くなりながら、夢中になって腰を振っていた。 「あ、あ、あ、ミツナっ……あぁ」 「気持ちいい?」 「あぁっン、ん、ダメ、乳首は」  中の快楽を夢中になって貪っていたら、乳首にキスをされて、中がぎゅっとペニスにしがみついてしまう。 「乳首はひとりでいじってたんだ?」 「あっ、あぁぁっ」 「ぷっくりしてる」 「あ、や……あぁ」 「すごかったでしょ? 乳首いじると中がすげぇ蕩けるの。指で感じた?」  感じた。乳首を指でいじると中がこんなふうにしゃぶりつくんだって、さっき知った。きっと今、そうなってる。あんなふうに絡みついて、しゃぶりついてる。 「ホント、どんどんやらしくなるよね」  そういうふうに抱かれる身体に。 「やらしい俺は……ダメ?」  自分からも腰を揺らしながら、その唇にキスをした。キスをしながら、何度もペニスを中で扱いて。その舌にもしゃぶりついて。 「ダメ、なわけないじゃん」 「あっ……」  やらしくしたのはミツナだ。淫らではしたない俺にしたのはミツナ。 「よかった」 「……」 「じゃあ、もっと」  だから他の誰よりも俺とのセックスに溺れて欲しくて。 「もっと、して」  キスで、身体の奥で、しゃぶりついてやらしく腰を振っていた。

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