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第43話 不機嫌顔のライオン
草原で獲物を見つけ出したライオンを思い出すミツナの不機嫌そうな横顔。
獲物は俺で――。
「あっ……はぁっ」
鏡の中にはまるで捕食されるように、首筋に愛撫を受ける俺が映ってる。
「ンっ」
シャツの中に潜り込んだ手に甘い声を上げてる。
爪で乳首を引っ掻かれて、背中を反らしながら感じてる。
「あぁ……ン」
きゅぅ、と抓られながら引っ張られると気持ちいいなんて。
いつ誰が入ってくるかもわからないトイレで、こんなに服を乱して。でも――。
「やらしい身体……こんな身体になって女なんて抱けんの? 乳首で感じまくりのこの身体で」
「あっ、あっ」
「こんな乳首硬くさせて」
「あぁぁっ」
指に捏ねられてる。
「無理なんじゃない? ほら? 今だって、俺の欲しそうに押し付けてる」
「ン」
だって、欲しくなる。
突然不機嫌な顔になった。俺がセットをしてもらっている間はむしろご機嫌だったのに、パーティーが始まる頃にはご機嫌斜めで、少し怒ってさえいるようだった。
その不機嫌の原因が、俺だったら。
「欲しい……」
「悠、」
「ミツナの……」
俺と女性スタッフのことに嫉妬しているのかもしれない、なんて思ったら、もう――。
「エッロ……やっぱ無理でしょ。こんなにフェラ上手くなってさ」
何度も、もう女性は抱けないだろうと呟くミツナのペニスを口いっぱいに咥えてしゃぶってる。
「ほら、見て」
「ン……」
促されて横目に鏡を見た。
「ン、ん」
鏡の中にはしゃがみ込んでペニスを頬張る俺がいて。
「っ、美味い? 俺の」
「ン」
そんな俺を見つめて、スタイリストにワックスで撫でつけてもらった髪を掻き乱すように触れながら、息を乱すミツナがいる。洗面台の端、壁に寄りかかりながら、ペニスにしゃぶりつく俺を上から見下ろして、亀頭を音を立てて吸われる度に眉間に皺を寄せて、綺麗な形をした唇を噛み締めてる。
わざと口を離して、下から見上げるようにミツナのペニスの裏筋だけに吸い付いて、唇を使って数回擦ってから、また飲み込むように先端から咥えると気持ち良さそうにミツナが顔をしかめた。
ミツナのが美味しいと無言で伝えるようにしゃぶり付いて、舐めて、咥えて。もっと、舌を。
絡めて――。
「「!」」
足音、が。
「いやいや、それは絶対に取らないといけないだろ? 契約まで絶対に持っていくんだ」
ギリギリ……だった。
「あぁ? 今? 今はパーティーに出席してるから。やっと長いスピーチが終わったところだ」
すぐそこにあった個室に二人で急いで隠れて。
「長いのなんのって」
多分、ミツナも招待されたパーティーの出席者だろう。電話をしながらだったから声が先に聞こえて、足音も。それで気が付けた。
「!」
慌てて、とにかく急いで隠れたから入った個室は一番手前のところ。
「っ」
すぐそこに人がいる。
なのに。
「っ」
ミツナが狭いこんな場所で俺を抱き締めながら、後を撫でた。指で孔を布越しに押されて、フェラで熟れた身体はここがトイレで、すぐそこに人がいるのもおかまいなしに蕩けていく。
「っ」
撫でてくれる指に抉じ開けられたくなる。暴かれて、狭いそこにねじ込むように押し付けられてる、ミツナのペニスが欲しくなる。
それを知ってるみたいにミツナが意地悪く笑って、俺のスラックスのベルトを外した。
(ね、指、しゃぶって……)
「!」
そして、指を二本口に咥えさせた。指を濡らしながら、ついさっきまで彼のペニスをしゃぶっていた俺の舌は指にだって唾液が溢れてきてしまう。ジュブジュブとはしたない音がしてしまいそうなくらい、口の中が性感帯になりきってる。
「っ」
俺がフェラで濡らした指が中に入ってきた。
「っ」
声が溢れてしまいそうなのを必死に堪えながら、待ちかねていた感触に震えるほど感じて。
(エロすぎ)
指が性急だった。何度か中を擦られて、二本の指が孔の口を拡げて、すぐに抜けていく。そして、両手を壁についてと促されて背後にミツナが立ったら。そしたら、次は指じゃなくて、きっとミツナのペニスがもらえると期待してヒクついて。
「!」
充てがわれたペニスの切先に押し付けるように自分から腰をくねらせれば、そのまま、俺の腰を鷲掴みにしたミツナの太いのが挿いってきて。
「あ、そう言えばモデルのミツナ、だっけ、いたぜ?」
すぐそこに人がいる。
「すげぇなぁ。顔なんてものすごい小さくて、綺麗でさぁ。さっきまでいたんだけど、今はどうかな。サイン? 無理だろー。もらえないって」
パーティーに出席した誰かがすぐそこにいてミツナの話をしていて。
俺は壁一枚隔てたこの個室の中で、そのミツナに抱かれている。
「っ、っ」
奥までペニスで抉じ開けられながら、何度も行き来をされて擦られるだけで感じまくって。孔がペニスを美味しそうに締め付ける。人がすぐそこにいるのにはしたない音がしそうなほど、身体を濡らして、滴らせてしまう。
(やらしいね)
「っ、!」
(女の子みたいにさ)
「っっっっ!」
貫かれながら乳首を抓られたら、もう――。
「どうかなぁ。一応、トライしてみるけどさぁ。無理だと思うぜぇ。なんか近寄り難かったし」
その男性はミツナのことを楽しそうに話しながら、トイレを後にした。
「あっ、あ、あ、あ、あ」
「今の誰だろ。あとで言われたら丁寧にサインしてあげよ」
「あぁぁっ」
奥をずぶりとペニスで貫かれて、悲鳴が溢れた。
甘くてやらしい喘ぎ声。
「本当、やらしいね。悠壱」
男性がいなくなった途端に激しくなる腰つきに身悶えて、感じながら、奥まで犯されて悦ぶ身体は、もう。
「ね? 女とじゃ満足できないでしょ」
「あ、イク、イっ」
「悠壱……」
「あ、あ、あああああああっ」
さっきまでの不機嫌顔が消えた彼に、ただ中をいっぱいに抉じ開けられる、その快感だけで、ただそれだけで、達していた。
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