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第44話 やらしい身体

 あの晩のはヤキモチだったり……したんだろうか。  そんなわけ、ないか。 「あ、あっ」  乳首をキュッと摘まれて甘ったるい声を上げてしまう。  大きなベッドに寝転がっているミツナの上に跨って、覆い被さるようにしながら、ミツナの口の中で乳首を溶かされるくらいに舐められてる。 「ふぅ……ン」  吸われながら反対側を指で押し潰されると切なさが込み上げてくる。 「ンっ」  口の中で弄ばれるように舌に捏ねられるのがたまらなくて、自分からミツナの口の中に押し付けてしまう。 「悠壱」 「あっあぁあっ!」  歯で甘噛みされると反射的に背中を反らせて、そのせいでまるでミツナの歯に引っ張られてるみたいになった。 「乳首、好き?」 「あっ……」 「ほら、悠壱」 「ン!」  ぐるりと体勢が入れ替わった。そして大胆に脚を開かされて、トロトロに濡れてしまった下半身を眺められて、でも俺は羞恥にすら心地良さを感じてる。 「ここだけでイケそうじゃん」 「あぁぁっ!」  爪でピンと弾かれて、腰が浮くほど背中を仰け反らせた。そして、俺に覆い被さるミツナに乳首にキスをされて、蕩けそうな快楽に襲われる。 「……やらしい」  枕をぎゅっと握り締めながら、そう呟いて俺の小さな、でも、躾されて快楽を得ることのできるようになった乳首をやらしいと呟くミツナの舌に押し付けた。  どんどん身体が変わっていく。 「……ミツナ」 「見せてよ。やらしい悠壱」  どんどんミツナに、抱かれる身体に……変わっていく。それこそ、ミツナに言われたように、もう俺の身体はきっと――。  最初の頃よりも抱かれる度に肌に残るキスマークの数が増えた。  そして、その印がつく箇所も変わった。首筋にいくつかあったキスマークは今はあっちこっち全身に残っている。  首筋よりも乳首のところに多くて。 「……こんなところにも」  そこよりも多いのが脚の付け根。  でも今日は乳首の方がたくさんキスマークが残っていた。ここだけで達するまでずっと口付けられていたから。  このキスマークがついた場所全てにミツナの唇が触れたんだ。  ここにも。  こっちにも。  それに――。 「ここにも付けたよ」 「!」  バスルームから出てきたミツナが雫をぽたぽたと垂らしながら洗面台の前にいた俺の背後に立った。 「あっ……っ」 「鏡じゃ見えないでしょ? 脚大きく開いてバックでねだってくれた時にくっつけたよ」 「ン」  言いながら、孔のすぐ近くを指で押されて、切なげに何かを訴える子犬みたいな声が溢れた。 「フルヌードで自分のやらしい身体観察してたの?」 「あっ」 「けど、風邪引くよ?」  湯冷めした身体を抱き締められると湯上がりの肌は熱くて、息をするのも忘れそうなほど、肌が熱に驚いて、でも心地良いと欲しがってしまう。  せっかく温まったのにもう冷めてしまったからと。 「やらしいよね」 「あっ」 「乳首で感じて。さっきあんなにいじったから、まだ俺の舌の感触残ってる? 触っただけでそんな顔して」  今、肌に触れるこの熱が欲しいって。 「……敏感」 「あっ……ン」  熱が欲しいって。 「はぁ」 「乳首だけでそんな顔しないでよ」 「あっ」 「また……」 「あぁぁぁぁ」  疼いた身体をまた貫かれたいと懇願してしまう。 「したくなるじゃん」 「あぁぁ!」  身体が変わっていく。 「あ、あ、あっ、ミツナ」 「中、こんなにうねらせて」 「あぁぁ」  ズブズブと埋め込むようにゆっくり挿入された熱に湯冷めした肌が震えた。そこだけが熱くて。身体の中にミツナの熱が捩じ込まれていくのをすごく感じて。中でビクビクと跳ねてくれるペニスに嬉しそうに孔がキュッと口を窄めて搾り取ろうとしてしまう。 「はっ……悠壱っ」 「あ、あ、あ、あ」 「っ」  うなじにキスをされる。腰を掴まれて、そのまま数回激しく中を擦られる。 「悠壱」 「あぁぁぁっ、あ、奥まで」 「っ」 「ああああああ!」  さっきまでたくさん抱かれていた身体は快楽を最も簡単に拾い上げて、突かれる度にカウパーが洗面台を濡らしてく。 「あ、あ、あ、あっ」 「悠壱の中、あっつ……すげ」  違う。熱いのはミツナの方だ。 「あぁぁっン」  ミツナが触れた場所全部が熱い。  熱は気持ちいいから、自分からも擦り付けて縋り付いてしまう。さっきまで抱かれた尻奥まで抉じ開けられたくて、また奥まで欲しくて、背後にいるミツナの身体に自分から縋っていく。  ずっと奥まで欲しいと腰をくねらせて。 「悠壱」 「あ、イクっ、イクっ」 「悠壱」  激しく腰を打ち付けられて、視界に星が瞬いた瞬間。 「っっっっっっ」  ずるりと抜けたミツナが外で果てた。 「あっ……ン」  そして俺の尻に熱がかけられて。 「ンっあっ」  飛び上がるほど熱いのを肌にかけられて、その熱に俺も果てて。洗面台の大理石の上にびゅくりと弾けて、ひんやりとしている石に熱を飛び散らせた。 「あっ……」 「悠壱」  そのまま後ろから抱き締めてくれるミツナに振り返って。 「……ン」  キスをした。深く。舌を絡めて、溶けそうなくらいに濃厚なキスを。 「んん」  その口付けにすら感じて震える自分が鏡に映っていた。ミツナに抱かれてこんなに嬉しそうに蕩けてしまう。 「……悠壱」  やらしい身体になった俺が鏡の中に映っていた。

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