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第7話

 ****  「なぁ、理央。 七央ってさぁ、どうしてあんなに可愛いんだと思う?」  知らないよ。だいたい七央が可愛いのなんて当たり前過ぎて、どうしてかなんて考えた事も無い。  「オメガだからでしょ」  「うわ…。 身も蓋もねぇな、おい」  そんなの大前提だろっ、と文句を言われる。  「やっぱさぁ、俺の運命だと思うんだよね。じゃなきゃ、こんなにトキメく訳がないっ!」  はぁ…、そうだといいね。  「あ、お前。今ちょっと馬鹿にしただろ!」  「してないよ。 …呆れたけど」  やっぱり馬鹿にしてんじゃねぇかっ、とまた文句を言われた。少し静かにして欲しい。だいたいきみは声が大きいんだよ。  「そんなに好きならまた告ればいいだろ。こんな離れた場所からコソコソ覗き見してないでさ。九条くん、それでも本当にアルファなの?」  「う、うるさいっ! アルファだからって、そう簡単に告るとかっ、で、出来るもんじゃ無いんだよっ! …それに、一回振られてるし」  「あのさぁ、九条くん。 きみはあの九条家のアルファなんだよ? そこらの野良アルファじゃない、れっきとした上位種でしょ? なのに何なの。そのヘタレっぷりは」  「い、家なんか、関係あるかっ! アルファ差別だぞっ!」  「あー、はいはい。すみませんでした。オレがわるかったです」  何だ、その棒読みセリフはっ! と、また文句が返ってくる。オメガ差別なら聞いた事あるけど、アルファ差別なんて聞いた事ないぞ。ふふ、なんか面白い。    「はぁ…。 可愛いなぁ、七央ちゃん。早く俺のモノになればいいのに…」  彼の見つめるその先に、キラキラオーラの七央がいる。今日もサイコーに可愛いのは認めよう。  「こんな所でただ眺めてるだけじゃ、七央は九条くんのモノになんかならないよ。 オレが呼んであげようか?」  「だっ! ば、ばかっ!ダメだよっ!あんなに可愛いんだぞっ!めちゃくちゃいい匂いがするんだぞっ! そそそ、側に来たら、今度こそ間違いなく襲っちゃうだろっ!」  「……それは、駄目だよ」  ドン引きだ…。まさか強姦宣言するとは思わなかった。  九条くんは頭を抱えて身悶えている。なんて残念な上位アルファ種なんだろう。  でも何でだろう。放っておけないんだよなぁ。

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