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第8話

 九条流星はアルファの中でも上位に位置する名家の生まれ。誰もがその地位と名声に称賛と憧れを抱く、この国のアルファ御三家の一つ、九条家の三男である。  栗色の艶やかなさらさらの髪、くっきりとした二重の瞼に蜂蜜色の瞳と形のいい高い鼻。男らしい大きな口と厚めの下唇はセクシーだし、その右下に添えられた色気のあるホクロがまたまた視線を釘付けにする。シミ一つ無い光沢のある肌はまるで大理石のよう。  こうして座っていても見上げる位置にあるそのご尊顔。加えて折り曲げた長い足は、立派な上背を隠し切れない。立って並んだ時なんか、シャツの第三ボタンが隣にあった。まぁ、オレが平均よりチビのせいでもあるんだけど…。  そんな、黙っていれば王子様の様な九条くんとは、七央に請われて付き添った件のパーティで知り合った。  そこで九条くんは七央に一目惚れしたのだ。オレの事なんか視界の片隅にも入らない程、そりゃあもう七央の事しか目に入っていなかった。

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