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第24話
「それと、ずっとベータだと思っててごめん。気付くの遅くなって、本当にごめん。いつだって理央の匂いに惹かれてたのに、七央と勘違いなんかして本当に、本当にごめん」
オレの匂い? オレ、匂いなんかするの?
え、待って?それ、どういう……
「理央といるの楽しくて、俺、本当は七央に会いたかったんじゃなくて、理央に会いに行ってたんだってやっと分かった。今日まで会えなくてずっと寂しかった。理央に会いたくて、会いたくて堪らなかった」
「…、んと?」
「理央がヒートで病院運ばれたって聞いた時は死ぬ程怖かった。 だ、だって、もし、もしも俺じゃないどっかの悪いアルファに拐われたらって、お、思ったらさ、…お、俺、」
九条くん…、
「そんなの、絶対ダメだ、って。理央は俺のなのにっ、て」
九条くん、泣いてるの?
「勝手だけど、…俺、こんな、情けないアルファだけど、 理央が、理央のことが好きだ。理央の好きな物、何でも作ってやるし、行きたい所もどこでも連れてってあげる。い、嫌なところは直すし、駄目なところもちゃんと出来るように努力する! だ、だからっ、ーー」
「嬉しいっ!!」
嬉しいっ! 凄く凄く嬉しくておもわず飛び跳ねて抱きついた。
ラベンダーのいい香り。やっぱりこの匂いは九条くんだったんだね。
あの広いパーティ会場で、唯一オレを癒やしてくれた優しい香り。
「り、理央…。 理央、理央」
オレが抱きついてもびくともしない大きな身体がぷるぷる震えてる。なんて可愛くて、愛しいんだろう。
「オレ、オレもね。あのヒートの最中ずっと、九条くんに会いたくて堪らなかったよ」
「ほ、ほんとか?」
「うん! 会いに来てって、ずっとずっと思ってた。でも、会えなくて、会っちゃ駄目だっ、て考えてたら、寂しくて悲しくて…、いっぱい泣いたよ」
「泣いた? クソっ、誰だよ、理央を泣かせたヤツ!」
「九条くんだよ」
「…あ、そっか。俺か。 ご、ごめんなぁ、理央ぉ」
また泣く。こんな泣き虫アルファなんてきっと九条くんだけだぞ。
「あのね、あのね。オレ、九条くん、…り、流星くんが大好き!」
「うっ、あ? り、理央っ、なな、名前、え? え? ぅわぁーーっ、」
「だ、だめ、 だった?」
「うや、やっ、嬉しいっ! すっごい嬉しいっ! 理央大好きだ!」
「オレもっ! 流星くん好きっ!」
さっきまで悲しくて苦しくてあんなに寒かったのに、流星くんにぎゅっとされて好きって言って貰えて、心も身体もぽかぽかしてる。それに何だかふわふわとして幸せだ。
好きな人に好きって言えて、それからそのまま同じ言葉を返して貰えた。それがこんなに嬉しいなんて、オレ知らなかった。
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