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第26話

 流星くんのお兄さんの隣で、同じ様に幸せそうに微笑む天使は、見間違いようも無いくらいよく知った顔……。  「七央っ!?」  オレの声に気付いた七央が、花の顔の如く綺麗な笑顔を向けて手招きをする。  あれからずっとオレを抱きかかえたままの流星くんは、チッ、と舌打ちしながらも二人に近付いてその手前で降ろしてくれた。  「理央。 良かった、まだいてくれて」  「当たり前だ。 俺が理央を帰す訳無いだろっ」  「な、なな、七央っ、こここれ、これは、」  「黙れ流星。散々僕の匂いと理央の匂いを間違えたポンコツのくせに」  「ぅっ…、」  「どどど、どう、どう、どうゆ、」  「あ、理央。 紹介するね、僕の番の九条昴さん。 昴さん、この子が松永理央。僕の大切な可愛い弟です」  「はじめまして。噂はかねがね七央から聞いてるよ。宜しくね、理央くん」  「う、ひゃ、ひゃいっ! はは、はじ、はじ、はじえま、って、」  「あはは。そんなに慌てないの、理央。ホント、どうしてこんなに可愛いんだろ。 ポンコツ流星なんかにあげたくなかったのになぁ…」  「なっ、う、うるさいっ!」  「ああ、あぅ、あぅ…うぅ……」  待って待って。全然頭が追いつかない。何がどうしてこうなってるの!?  「こら、七央も流星も。理央くん混乱しているでしょ。 ごめんね。急に色々と言われても困るよね」  「あ、ああの、その、…はい」  「ごめんね、理央。 今度ゆっくり説明させて。 でも今、一つだけ理央に聞いてもいいかな?」    うんうん、なあに?  頷いて返事をする。吃りが酷くてまともに喋れそうに無い。  「僕達の事、認めてくれますか?」  七央は見たことないくらい真剣な顔でそう問うた。隣にいる番だという昴さんに、腕を絡めてとても緊張した面持ちで、オレにそんな質問をしてきた。    「……七央は、幸せなの?」  だからオレも真剣にそう聞いた。  「うん、とっても!」  昴さんの顔を見ながら七央はそう言った。それはそれは愛おしそうに。  なら、オレの答えは一つだ。  「七央、おめでとう!」  凄く驚いてるけど、正直まだよく分かんない事だらけだけど、今目の前の七央がとても綺麗で幸せそうなのだけは本当だ。  オレは七央の幸せ守り隊だぞ!七央が幸せなら何の文句もある訳ないだろ。  「二人の赤ちゃんのお世話は任せてね!」  「「なっ、!」」  あ、息もピッタリだ!  七央と昴さんはバッ、と顔を見合わせて、カァッ、と真っ赤になったと思ったら、今度はパッ、と顔を反らしてモジモジし始めた。  うん! これは確かに流星くんよりお似合いだね。  「お、おいっ、理央! あんまりからかうなよ。兄貴が真っ赤になっちゃっただろ」  「ええ? 何で? オレ、からかってなんかいないよ」  「り、理央くん、あの、ありがとう。 流星っ。そろそろあちらに、理央くんをお連れしたらどうだ?」  「おい流星っ、理央にアルコールはダメだからな! まだ未成年なんだから」  「分かってるよ。 ほら、理央。あっちに行こう。俺の誕生会はあっちの部屋でやるんだ」  「へ? あ、うん。 七央、またね!」

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