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ep.11

─俺の勘は当たってた。  やっぱりあれは偽物で  さっきのが本当の三住だ…。 ─こうなる事を三住は知ってたんだ…  だから心だけって…    前の自分に戻りたくないって、思ってくれてた。 ─なのに、俺、約束破った… 「ごめんなさい。三住…ごめんなさい…」  何度後悔しても謝っても、涙は止まることはなかった。 「可哀相に、貴方は本当にとばっちりだ」  真夜中、自室の中で知らない声がする。  桜庭はぼんやりとその声に耳を澄ました。 「あの男の呪いに巻き込まれて同情します。お可哀相に…もしお辛いのなら取り除いて差し上げますよ、貴方の心。そうすればこの辛さも傷も全部忘れて楽になれる」 ─忘れる…?   全部…? 「ううん、忘れたくない…三住が忘れたのに、俺まで忘れたら…あの三住をなかった事にしてしまう…。俺の…特別…」  桜庭はそのまま意識を手放した。赤く腫れた目元にはまだ涙が光っていた。  翌朝、時田は目の腫れた桜庭に何を聞く訳でもなく、一緒に花火見るかと笑いかけた。

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