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第4話
高校に上がってすぐ、少年はアルバイトを始めた。
家族以外と行ったテーマパークはあまりにも圧倒的で、もっと別の場所にも彼と一緒に行きたくて。
だが、言葉足らずな少年はこの世で最も大切である筈の恋人を不安にさせてしまったらしい。
学生が学業より優先するべきものは無いのかもしれないが、少なくとも小遣い稼ぎよりは恋人と過ごす時間の方が大切だ。そんな簡単な事にも気付けない愚かで無知な少年は、しつこく会いたいと連絡を寄越す恋人が鬱陶しいとまで記し始めた。
こうなるともう修復は不可能だ。
ただでさえ都合を付けねば会えない2人だ。市外へ進学した恋人は、必然的に帰りだって遅くなる。
義務教育まで当たり前に決められていた彼らの同じ時間は終わり、生き方の選択が出来るようになった。
当然、その先には一人一人、日々小さな分岐点が現れる。
こうして誰しもが大人になっていくのだと理解出来るのは、きっと少年が夢を諦めて大学を辞める頃だ。まだ15歳の少年には難しかった。
4月の下旬に差し掛かったところで、少年の日記はついに途絶える。一つの恋が終わったと言う事だ。
初めて知った失恋の痛みまでを書き起こす精神力はなかったらしい。
だからこの物語はこれで打ち切り。
完結させようにも、元恋人に名前を変えた彼がもう一度登場してくれなければフィナーレの盛り上がりに欠ける事くらい、あまり本を読まない自分にも容易に想像が出来た。
55ページにわたった未熟な冒険譚の、真っ白な最後のページ。
肌寒い夜明けの空気を肺いっぱいに取り込んだ僕は、続きを書いてもらえなかった可哀想な物語にボールペンを走らせる。
久しぶり。あれから色んな事があって、大人になって、沢山のアドバイスが出来るようになったよ。
まあ今更遅いよね、ごめん。
本当はもっと素敵な人が現れるから大丈夫と言ってあげたかったんだけど、正直まだわからないままなんだ。
もう一度、彼に会いたくなったよ。
かつて少年だった僕より
題名の無いこの物語は、早すぎた恋…『ブルースター』とでも名付けておこう。
淡泊なあとがきを付け加え、新幹線の時刻表を検索しながら静かな公園をあとにした。
日の出前からランニングをする変わり者とすれ違った以外は、いつもと何ら変わりない慣れ親しんだ町だった。
君と君の恋人が出会えたここが、大好きだった。
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